セッション情報 一般演題

タイトル 15:

Clutch cutterを用いての粘膜切開生検が確定診断及び治療方針決定に有用であった胃GISTの1例

演者 岩尾 梨沙(麻生飯塚病院 消化器内科)
共同演者 赤星 和也(麻生飯塚病院 消化器内科), 小嶋 綾(麻生飯塚病院 病理部), 大屋 正文(麻生飯塚病院 病理部), 田中 義将(麻生飯塚病院 消化器内科), 小森 圭司(麻生飯塚病院 消化器内科), 仲間 直崇(麻生飯塚病院 消化器内科), 小副川 敬(麻生飯塚病院 消化器内科), 板場 壮一(麻生飯塚病院 消化器内科), 久保川 賢(麻生飯塚病院 消化器内科), 久野 晃聖(麻生飯塚病院 消化器内科), 本村 廉明(麻生飯塚病院 消化器内科), 中村 和彦(九州大学病院 病態制御内科)
抄録 症例は61歳女性。生来健康。平成21年6月に施行した健康診断の上部消化管X線検査にて胃角部前壁に隆起性病変を指摘されたため、当科を受診した。現症や血液生化学検査では特記事項無し。上部消化管内視鏡検査では、胃角部前壁に4cm大の、表面平滑で山田III型様の立ち上がりを有する粘膜下腫瘍様隆起を認めた。表面に凹凸やdelleは認めなかった。EUSでは第4層と連続する低エコーの充実性の腫瘍として描出され、GISTを含む消化管間葉系腫瘍が強く疑われた。内部エコーは比較的均一であり、悪性を疑う腫瘍内無エコー域は認めなかった。確定診断を得るために、同年7月にEUS-FNA、9月に生検鉗子を用いての一点集中生検、平成22年4月に2度目のEUS-FNAを行ったが、腫瘍が亜有茎性であるため、穿刺時や生検時病変が動き、適正検体が得られず確定診断には至らなかった。従来の内視鏡的組織採取法が不成功に終わったため、粘膜切開生検法での組織採取を検討、患者の同意が得られたため、平成22年6月に、Clutch cutter (FUJIFILM社製)を用いて粘膜切開生検を施行した。病変頂部の粘膜下層内にグリセリン液局注後、粘膜層と粘膜下層をClutch cutterを用い切開、腫瘤を露出させた後生検鉗子にて腫瘍組織を採取した。術中術後に合併症は認めなかった。生検病理組織学的検査では紡錐形~類上皮様の腫瘍細胞の増生を認めたが、核分裂像は認めなかった。免疫組織化学的検査では、c-kit陽性、CD34弱陽性、SMA陰性、desmin陰性、S-100陰性、AE1/AE3陰性、MIB-1標識率は5%未満であった。以上より、胃GISTと診断。現在、手術を検討中である。Clutch cutterを用いての粘膜切開生検が胃GISTの確定診断及び治療方針決定に有用であった症例を経験したので若干の考察を加えて報告する。
索引用語 粘膜切開生検, GIST