セッション情報 ワークショップ3「消化器疾患に対する低侵襲手術(ビデオ)」

タイトル MW-06:

低侵襲手術をめざした膿瘍(腫瘤)形成虫垂炎に対するInterval appendectomy

演者 田中 聡也(佐賀県立病院好生館外科)
共同演者 佐藤 博文(佐賀県立病院好生館外科), 浦田 雅子(佐賀県立病院好生館外科), 古賀 浩木(佐賀県立病院好生館外科), 大高 和真(佐賀県立病院好生館外科), 廣橋 喜美(佐賀県立病院好生館外科), 佐藤 清治(佐賀県立病院好生館外科)
抄録 【はじめに】虫垂膿瘍は急性期に手術を施行されることが多いが,その際腸管切除や術後合併症を経験することがある。良性疾患である本疾患で腸管合併切除等に至ることは、過大侵襲であると考えられる。それらを予防すべく当院外科では、小児外科領域で虫垂膿瘍症例に対して,保存的治療をしたのち約3ヵ月後に腹腔鏡下虫垂切除を行う,laparoscopic interval appendectomy(以下,lapIA)を施行してきた。平成21年からは、成人にも適応を拡大しlapIA を行っている。今回、初診時、CT上虫垂膿瘍を形成していたと評価した症例にlapIAを施行した手術ビデオを供覧しlapIAの有用性を提示する。【ビデオ提示症例】61歳男性、主訴は、右側腹部痛。腹痛出現後、近医で経口抗生剤投与、その後も症状改善しないため当院受診。受診時、右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知した。検査データは、白血球5100,CRP6.37。腹部超音波で虫垂腫大と周囲の液体貯留を認めた。腹部CTでは、虫垂は径12mmと腫大し、壁肥厚増強効果を認めた。また虫垂背側~上行結腸背側の後腹膜に辺縁が増強される液体貯留を認め膿瘍形成の所見があった。膿瘍が上行結腸に接していることより急性期の手術では腸管損傷や切除の可能性があること、炎症が限局していることなどよりlapIAを想定した保存療法(絶食、補液、抗生剤CLDM+CMZ投与)を開始した。保存的に状態改善し一旦退院後、発症から3ヶ月後にlapIA施行した。術中所見で、虫垂周囲の癒着はほとんどなく、腹腔鏡下に虫垂切除を完了した。(胆石症もあったため、胆嚢摘出術を同時施行)経過は問題なく術後3日目に退院した。【まとめ】lapIAの有用性を検討するため症例の手術ビデオを提示する。保存的治療に反応しない症例もあることなど問題点もある。また保存療法にて軽快後、手術が必須なのかなど文献的考察も含めて発表する。
索引用語 Interval appendectomy, 虫垂膿瘍