セッション情報 | シンポジウム2「小腸疾患への新しいアプローチ」 |
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タイトル | S2-06:消化管濾胞性リンパ腫の臨床病理学的特徴 |
演者 | 浅野 光一(九州大学病態機能内科学) |
共同演者 | 梁井 俊一(九州大学病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学病態機能内科学), 江崎 幹宏(九州大学病態機能内科学), 藤田 恒平(九州大学形態機能病理学), 平橋 美奈子(九州大学形態機能病理学), 松本 主之(九州大学病態機能内科学) |
抄録 | 【背景】近年、内視鏡技術の進歩により、十二指腸を含む小腸濾胞性リンパ腫の報告例が増加してきた。しかし、その臨床病理学的特徴に関しては、いまだ不明の点が多い。【方法】2004年から2009年までに当院で診断された消化管濾胞性リンパ腫のうち、ダブルバルーン内視鏡(DBE)による全小腸の検索を行った23例(男性12例、女性11例;平均59歳)を対象とし、臨床病理学的特徴を検討した。全例でt(14;18)/IgH-BCL2転座の有無をfluorescence in situ hybridization(FISH)法により検索した。また、progression-free survival(PFS)に関連する因子をKaplan-Meier法で解析した。【結果】罹患部位は胃2例、十二指腸17例、空腸18例、回腸14例、大腸4例であり、全例で十二指腸、空腸、回腸のいずれかに病変を認めた。また、18例(78%)で2か所以上の消化管領域に病変を認めた。肉眼型はMLP型が最も多く(17例)、臨床病期はI期12例、II1期が1例、II2期が3例、IV期7例であった。組織型はgrade 1が18例と多く、IgH-BCL2転座は20例(87%)で陽性であった。初回治療として、無症状でI期例には無治療・抗菌薬治療(10例)またはリツキシマブ単剤療法(4例)を行った。腹部症状がみられた腫瘤形成の3例で外科切除を行い、他のII1期以上の例にはR-CHOP療法(6例)を行った。治療の結果、14例(61%)でcomplete remission (CR)が得られ、観察期間中に2例で再発を認めた。また無治療・抗菌薬治療で経過観察した10例のうち4例で病変の進行を認めた。死亡例はなかった。観察期間中のPFS率は74%であり、病変が複数部位にあること(p=0.02)と、CR非導入(p=0.03)が有意なPFS不良因子であった。IgH-BCL2転座陽性例はPFS不良の傾向がみられた(p=0.09)。【結論】消化管濾胞性リンパ腫のほとんどは小腸に病変を認め、小腸内視鏡による評価が重要である。消化管の複数領域に病変が存在する例やCR非導入例は、再発・進行のリスクが高いと考えられる。 |
索引用語 | 濾胞性リンパ腫, 小腸 |