セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専28:門脈塞栓をきたした回盲部周囲膿瘍の1症例 |
演者 | 蒲池 直紀(福岡徳洲会病院 総合内科) |
共同演者 | 松本 修一(福岡徳洲会病院 肝臓内科), 石田 素子(福岡徳洲会病院 総合内科), 西川 晃子(福岡徳洲会病院 肝臓内科), 松林 直(福岡徳洲会病院 心療内科) |
抄録 | 【症例】63歳男性【現病歴】約16年前からDMにて近医で治療中だったが服薬コンプライアンス不良で、血糖コントロールは不良であった。今回、5/23から全身倦怠感、食欲低下を認め、同時期より、内服もできない状態となった。発熱には気づいていない。5/31から動くことができずに、尿失禁したため、当院に救急搬入となった。【身体所見及び検査成績】来院時39度台の発熱、上腹部に軽度の圧痛を認めたほかは明らかな異常所見なし。採血上、WBC10000/μl、CRP38mg/dlと炎症反応高値で、HbA1c10.4%と糖尿病のコントロールは不良な状態であった。ABGはPH7.452、PCO2 27.4mmHg、PO2 89.9mmHg、HCO3-18.9mmol/l、AG21.1で血中ケトン体1316μmol/lでありDKAの状態であった。GOT113IU/L、GPT78IU/Lと上昇を認め、腹部エコーを施行したところ、門脈右枝に塞栓を認めた。肝内に明らかな占拠性病変は認めなかった。腹部単純CTでは腸管などに明らかな異常所見は認めなかった。【経過】敗血症、これに伴うDKAの状態。以前の画像検査では門脈に塞栓はなく、状況から腹腔内感染からの門脈塞栓を生じた可能性も考慮し、CMZ投与を、塞栓症に対しては、へパリン、AT3製剤の投与を開始した。血培からStreptococcusと嫌気性が検出された。入院3日目、右側腹部から下腹部にかけての腹痛が増悪し、腹部造影CTを施行したところ、回盲部周囲に膿瘍形成・一部に穿孔の所見を認め、外科にドレナージ目的に転科の運びとなった。転科後3日目に回腸上行結腸切除術・回腸ろう造設術を施行した。術後は経過良好で退院となるも、退院時も門脈塞栓症は残存していた。【考察】肝硬変のない患者の門脈塞栓症はまれではあるが、その原因として大腸憩室炎や虫垂炎などの腹腔内感染症は考慮すべきである。本症例は初診時には画像上腹腔内感染を示唆する所見はなかったが、経過中に症状の増悪があり画像でも指摘できるようになった示唆に富む症例と考えられるため報告する。 |
索引用語 | 門脈塞栓, 回盲部周囲膿瘍 |