セッション情報 一般演題

タイトル 48:

Composix Kugelパッチに癒着して生じたイレウスの1例

演者 自見 政一郎(JR九州病院)
共同演者 加来 啓三(JR九州病院), 大畑 佳裕(JR九州病院), 亀井 隆史(JR九州病院)
抄録 腹壁瘢痕ヘルニアに対して、近年Composix Kugel パッチを使用して修復することが多い。今回、卵巣嚢腫の術後の腹壁瘢痕ヘルニアに対してComposix Kugel パッチを使用したヘルニア修復術術後にイレウスを合併した症例を経験したので報告する。症例は79歳女性。1999年に卵巣嚢腫に対して卵巣切除術を受け、術後に創部がヘルニアを合併し、2007年に腹壁瘢痕ヘルニア修復術を受けた。2009年10月に腹痛があり、イレウス疑いと診断されて紹介された。初診時腹部レントゲンで小腸の鏡面形成像を認めた。白血球は11900で、血小板は53万だった。CTでは小腸の拡張を認めたが、血流障害を示唆する所見は認めなかった。絶飲食にて経過を観察した。入院3病日には白血球5700と炎症所見は軽減した。そのまま経過をみていたところ入院5日目白血球が20800と上昇した。血小板は18万だった。CTを撮影したところ、右側の小腸ガスは減少していたが、上腹部のガスが増えていた。翌日白血球は48000と増加し、血小板が6万と低下し、DICを併発した。入院7日目に血小板は4万と低下した。家族と相談し、血小板輸血を行って、開腹手術を施行した。開腹するとComposix Kugel パッチの辺縁に小腸が癒着していた。剥離して確認すると、メッシュが折れてとがった部分が、小腸の漿膜筋層に刺さっている部分を認めた。漿膜筋層縫合をかけて修復した。癒着した小腸を剥離してイレウスを解除した。メッシュは除去した。術後血小板は正常範囲に回復し、術後30日目にリハビリの後に退院した。Composix Kugel パッチを使用した場合でもパッチの辺縁部に小腸が癒着することがあり、注意が必要と思われた。
索引用語 イレウス, Composix Kugel パッチ