セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
91:タクロリムスと白血球除去療法併用にて緩解が得られた難治性潰瘍性大腸炎の1症例
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演者 |
松本 章子(行政法人国立病院機構長崎医療センター) |
共同演者 |
福田 慎一郎(行政法人国立病院機構長崎医療センター), 村田 朋哉(行政法人国立病院機構長崎医療センター), 後藤 高介(行政法人国立病院機構長崎医療センター), 矢嶌 弘之(行政法人国立病院機構長崎医療センター), 岡本 健太(行政法人国立病院機構長崎医療センター), 西山 仁(行政法人国立病院機構長崎医療センター) |
抄録 |
症例】30歳女性。ステロイド依存性潰瘍性大腸炎、左側結腸型、再燃緩解型。罹患歴は約18年。ステロイドによる左大腿骨頭壊死を合併。ステロイド総投与量は20g以上。【現病歴】12歳時に近医小児科で潰瘍性大腸炎 左側結腸型と診断をうける。以後複数回にわたり再燃を繰り返すが、その都度ステロイドにて加療されていた。2010年1月に左大腿骨頭壊死を発症し手術予定となったが、2月中旬より下痢・粘血便を1日5回認めるようになった。前医でステロイド20mg投与となったが症状改善せず、3月9日当院紹介入院となった。【経過】3月10日の大腸内視鏡検査ではS状結腸から直腸にかけてMatts4度の状態であった。タクロリムスの適応と判断し、3月15日よりタクロリムス投与開始し、3月23日には血中トラフ値が治療域に達した。しかしながら治療域に達してから7日経過しても血便の回数は減少せず、緩解導入できない可能性が考えられた。同時期に帯状疱疹出現。改善した後、4月6日よりLCAP intensive療法を併用することとした。タクロリムスが原因と思われる振戦が出現したこともあり、4月19日にはトラフ濃度を維持域に下げた。血便は持続していたがLCAP6回目終了後より血便消失したため、4月30日よりAZA内服追加した。5月上旬からは臨床的に緩解。LCAP2クール終了後の大腸内視鏡検査でもほぼ緩解の状態であった。6月13日にタクロリムス終了、16日に左大腿骨頭壊死の手術を行った。漸減していたステロイドも7月に中止したが再燃の兆候は認めず、現在に至るまで緩解維持できている。【結語】タクロリムスは難治性潰瘍性大腸炎に効果の高い治療であるが、約40%では効果が得られず、中には内科的治療を断念せざるを得ない症例も存在する。今回タクロリムスにLCAP intensive療法を併用したことで緩解導入可能になった症例を経験した。若干の文献的考察を踏まえて報告する。 |
索引用語 |
ステロイド依存性, タクロリムス |