セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 125:急性腎不全を合併し血清HGFの著明な高値を認めた重症A型肝炎の1例 |
演者 | 大江 晋司(産業医科大学) |
共同演者 | 柴田 道彦(産業医科大学), 宿和 和孝(九州労災病院門司メディカルセンター), 松橋 亨(産業医科大学), 日浦 政明(産業医科大学), 阿部 慎太郎(産業医科大学), 田原 章成(産業医科大学), 原田 大(産業医科大学) |
抄録 | 劇症肝炎において急性腎不全を呈することはしばしば認められるが、A型肝炎で稀に急性腎不全を起こすことが知られている。急性腎不全の原因として免疫複合体の関与が強く想定されているがエンドトキシン血症、ウイルスの直接障害、循環障害などの関与も示唆され未だ明らかでない。また肝細胞増殖因子(HGF)は急性肝炎の劇症化予知および劇症肝炎の予後予測に重要な検査で、そのcut off値は1 ng/mL以下とされる。今回我々は急性腎不全を合併し、血清HGF 12.28 ng/mLと異常高値を認めた重症A型肝炎の1例を経験した。急性肝炎診療に関する有益な経験と考え報告する。 [症例] 50歳代、男性。2010年6月39℃の発熱、全身倦怠感を主訴に近医を受診した。NSAIDの処方にて経過を見られていたが症状の増悪あるため3日後に他医を受診したところtransaminaseの著明な上昇を認めたため同日当科紹介、入院となった。AST 12217 IU/L、ALT 5725 IU/Lと高値で、PT%も28.2%と著明に低下していたが、脳症はなかったため重症急性肝炎と診断した。さらにCre 5.4 mg/dL、尿蛋白(3+)と腎機能障害を伴っていたが、全身状態が比較的良好で尿量も保たれていたことから、安静加療にて経過観察した。後日、IgM-HA抗体陽性であったことが判明し、重症A型肝炎と診断した。また、入院時のHGFが12.28 ng/mLと異常高値であったが、全身状態および血液検査所見は速やかに改善し、第10病日にはAST 143 IU/L、ALT 372 IU/L、PT% 100%、Cre 1.79 mg/dL、尿蛋白陰性となったため、重症A型肝炎に伴う急性腎不全と診断した。第21病日に提出したHGFも0.45 ng/mLと低下したため、第27病日退院となった。なお、免疫複合体C1qの上昇はみられなかった。[結語] 重症A型肝炎に急性腎不全の合併および血清HGFの異常高値を認めた1例を経験した。 |
索引用語 | A型肝炎, 急性腎不全 |