セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研21:

ESD後追加切除症例に対する腹腔鏡下胃切除の短期および長期成績の検討

演者 尾辻 健(新日鐵八幡記念病院外科)
共同演者 杉町 圭史(新日鐵八幡記念病院外科), 金城 直(新日鐵八幡記念病院外科), 池部 正彦(新日鐵八幡記念病院外科), 中村 滋郎(新日鐵八幡記念病院消化器科), 山口 敢(新日鐵八幡記念病院消化器科), 冬野 雄太(新日鐵八幡記念病院消化器科), 牧野 一郎(新日鐵八幡記念病院外科), 東 秀史(新日鐵八幡記念病院外科)
抄録 【背景】内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は早期胃癌に対する標準的治療の一つと位置づけられようになったが、その機器・手技の発展とともに適応が拡大する傾向にある。腹腔鏡下胃切除は低侵襲かつ根治性が担保される治療としてESD適応外の早期胃癌に対して行われているが、その有効性と妥当性について未だ明らかでない点も多い。【目的】ESD後のsalvage surgeryとしての腹腔鏡補助下幽門側胃切除(LADG)の短期および長期成績を解析し、治療の妥当性を検討する。【対象・方法】2006年12月から2010年4月までに当院において施行されたLADG42例を対象とした。ESD後のsalvage surgeryとして行った9例(S群)とそれ以外の33例(C群)に分け、手術所見、合併症、病理所見、長期予後について検討した。【結果】追加切除の理由は、低分化型混合1例、sm浸潤2例、脈管侵襲陽性1例、断端陽性2例、再発1例、ESD困難例1例、穿孔1例であった。リンパ節郭清範囲はD1+αが40例、D1+βが1例、D2が1例であった。手術時間、出血量、術後入院期間、術後合併症は両群間にて差を認めなかった。開腹移行はC群において4例あったが、S群ではなく、ESDの影響と考えられる組織浮腫,瘢痕,周囲への癒着を認めた症例はなかった。病理検査結果における深達度sm以深の症例はS群で3/9例(sm2例、se1例) 、C群で11/33例(sm8例、mp3例)であった。脈管侵襲陽性はS群で2/9例、C群で7/33例であった。リンパ節転移陽性はS群で4/9例,C群で3/33例であり、有意にS群で多かった(p=0.02)。長期予後の検討ではS群の1例に術後4ヶ月に腹壁再発があったが、C群では再発症例はなかった。【結論】ESD後のとしての LADGの手術成績は良好であり安全に施行できた。ESD後salvage surgeryの症例ではリンパ節転移が有意に多く追加切除としてのLADGが妥当であると考えられた。しかし漿膜浸潤癌であった場合の術式としては慎重に適応を決定する必要があると考えられた。
索引用語 LADG, 早期胃癌