共同演者 |
一木 康則(九州厚生年金病院内科), 上平 幸史(九州厚生年金病院内科), 平野 元(九州厚生年金病院内科), 浦岡 尚平(九州厚生年金病院内科), 吉野 総平(九州厚生年金病院内科), 瀧井 康(九州厚生年金病院内科), 藤澤 聖(九州厚生年金病院内科), 酒井 賢一郎(九州厚生年金病院内科) |
抄録 |
症例は64歳女性。2010年1月22日頃より全身倦怠感、食欲不振あり、37℃台の発熱があったため紹介元を受診し感冒として投薬されていた。同月26日に肝胆道系酵素上昇を認めたため同日当科に紹介入院となった。初診時、AST 4679 IU/L, ALT 4462 IU/L, ALP 333 IU/L, γGTP 391 IU/L, T-Bil 2.6 mg/dL, D-Bil 1.1 mg/dL, ChE 303 IU/L, Alb 3.8 g/dL, PT 41%, Plt 14.3万/μL, HA 738.9 ng/mL。後日判明した血清学的検査では、IgM-HA 4.6と陽性。HBV, HCV, HEVなどの感染は否定的、またIgG 1530 mg/dL, ANA<1:20であった。入院時、急性肝炎と診断したがこの時点では原因が特定できておらず、また重症化寸前と思われたため、入院当日よりステロイド投与を開始した。その後肝障害が改善傾向となり、IgM-HA抗体陽性の結果が判明しA型肝炎と診断したため、ステロイドを減量・中止した。退院後もAST, ALTは200~300台で遷延。ANA, ASMA, 抗LKM-1抗体はいずれも陰性であったがIgGが1960 mg/dLと高値になってきたことより自己免疫性肝炎の可能性を考え3月18日に肝生検を施行。リンパ球主体であるが形質細胞もみられる炎症細胞浸潤とinterface hepatitisを認めた。自己免疫性肝炎と診断し4月3日にPSL 30mgよりステロイド投与を開始したが、治療への反応性は極めて良好でありステロイドは漸減し中止した。本症例はA型肝炎により誘発された自己免疫性肝炎と思われ、若干の文献的考察を行い報告する。 |