セッション情報 |
ワークショップ2「B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策」
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タイトル |
WS1-02:当院におけるde novo B型肝炎12例の検討
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演者 |
河野 聡(北九州市立医療センター内科) |
共同演者 |
重松 宏尚(北九州市立医療センター内科), 三木 幸一郎(北九州市立医療センター内科), 丸山 俊博(北九州市立医療センター内科), 野村 秀幸(新小倉病院肝臓病センター), 下田 慎治(九州大学病態修復内科(第一内科)) |
抄録 |
【目的】de novoB型肝炎を軽症例も含めて検討し、全体像を明らかにする。【対象および方法】1998年以降の当院検査科のデータでHBs抗原が陰性から陽性へ変化した症例のうち急性肝炎や偽陽性を除外した12例を抽出した。全例血液疾患で抗癌剤治療や造血幹細胞移植を受けていた。治療前のHBc抗体が測定されているのは3例であるが、残りの9例も治療後の経過観察中にHBs抗原が陽性化しており、de novoB型肝炎と判断した。B型肝炎に関連する各種検査や転帰を基礎疾患の治療経過を踏まえて検討した。【結果】発症時HBe抗原陽性は11/12例、HBVDNAは全例6LC/ml以上、Genotype はB/C/不明=1/5/6例であった。ALT 100 IU/l以上の肝炎は8例に、T.Bil 3mg/dl以上の黄疸は3例にみられた。HBs抗体陽性の2例はともに発症時陰性化していた。発症前後でIgGが測定された6例のうち、低下したのは2例のみであった。肝不全による死亡は2例(劇症肝炎および肝硬変)にとどまり、6例は現在も生存している。Rituximab投与6例のうち2例が黄疸を伴う肝炎を発症し1例が劇症肝炎で死亡した。核酸アナログ投与8例のうち、24週以上経過が追えた5例中4例は24週以内にDNA<4LC/mlとなった(initial virological response)。軽症で核酸アナログが投与されなかった4例での肝不全死亡はなかった。最終治療から1年以内に発症した6例中5例がRituximab投与症例であった。それに対し、1年以降に発症した6例中4例(20/27/36/37カ月)はRituximab投与歴のない同種造血幹細胞移植症例であり全例GVHDに対し長期に免疫抑制剤が投与されていた。【考察】de novoB型肝炎は軽症例も多く、またRituximab投与症例のすべてが重症化するわけではなかった。Rituximab投与症例は短期で発症するのに対し、同種造血幹細胞移植症例は長期にわたる注意が必要である。核酸アナログの反応は良好なので、早期診断・治療は有効と思われる。発症予測にIgGは有用ではないが、HBs抗体陽性症例は治療後の抗体価の推移を追うことが予測に役立つかもしれない。 |
索引用語 |
de novoB型肝炎, ウイルス活性化 |