セッション情報 一般演題

タイトル 72:

胃全摘後Blind loop syndromeの2症例

演者 鶴岡 ななえ(佐賀大学 消化器内科)
共同演者 中野 良(佐賀大学 消化器内科), 白石 良介(佐賀大学 消化器内科), 山口 加奈子(佐賀大学 光学医療診療部), 下田 良(佐賀大学 消化器内科), 綱田 誠司(佐賀大学 光学医療診療部), 坂田 祐之(佐賀大学 消化器内科), 岩切 龍一(佐賀大学 光学医療診療部), 藤本 一眞(佐賀大学 消化器内科)
抄録 【はじめに】Blind loop synd.は様々な原因により、慢性的に腸内容物の異常停滞を生じ、そのために腸内細菌叢の異常が生じることによってもたらされる吸収不良障害等を呈する病態の総称である。今回我々は術後10年以上を経過してから発症し、胃全摘後Blind loop synd.と診断した2症例を経験したので報告する。
【症例1】46歳男性。36歳時に胃癌の診断にて胃全摘術を施行された。10年後の平成19年頃より全身倦怠感および浮腫、食後腹部膨満感出現し近医受診。著明な低Alb血症(2.0g/dl)を認め、平成20年10月当院へ紹介となった。入院後行った消化管造影検査および諸検査から友田変法による再建後blind loop synd.と診断。抗菌薬による加療を行うも改善なく、本人希望もあったため同年11月blind loopとなっている空腸の切除と消化管の再再建を施行した。術後経過は良好で、Albも術後3.7g/dlと速やかに改善を認めた。
【症例2】72歳女性。出血性胃潰瘍に対して、58歳時に胃全摘術を施行された。13年後の平成19年夏頃より下肢の浮腫、食後腹部膨満感を自覚するようになり、近医受診。低Alb血症(1.8g/dl)、慢性肝障害を認め栄養療法行われていたが改善なく、平成22年6月当院を紹介。入院後行った消化管造影検査および諸検査より友田変法による再建後blind loop synd.と診断。手術による加療を勧めたが、本人希望にて現在外来にて経過観察中である。
【まとめ】胃全摘後の再建法は工夫され術後合併症は減少しているが、長期経過してから症状出現することもあり、その際には再建術式の確認が重要となってくる。友田法は、食道空腸吻合部の縫合不全を少なくする為に考えられた胃全摘後の再建法であるが、器械吻合が発達し吻合不全が少なくなった現在では新たに行われることが少なくなってきた。今回我々は、友田変法による再建後blind loop synd.を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 友田変法, 吸収不良症候群