セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 112:DSM併用アイエーコール動注と放射線療法により著明な縮小を認めた、TACE+RF治療後に縦隔内に再発した混合型肝細胞癌の1例 |
演者 | 後藤 良三(親仁会 米の山病院) |
共同演者 | 板野 哲(久留米中央病院), 江口 有一郎(佐賀大学医学部附属病院 肝臓科), 阿南 真由美(佐賀大学医学部附属病院 病理部), 矢野 香織(親仁会 みさき病院) |
抄録 | 【はじめに】治療後に特殊な形で再発した肝細胞癌(以下HCC)の報告を散見するがいずれも治療に難渋し予後不良である。我々はTACE+RFで治療後に縦隔内に転移、再発した混合型HCCに対し抗癌剤動注と放射線療法を併用し著明な効果を認めた症例を経験したので報告する。 【症例】66才、男性、既往歴、家族歴に特記なし。当院外来に2000年よりC型慢性肝炎と糖尿病で通院中であった。2005年6月の検査で径2cmのHCCを認めTACE+RFにて治療し同年11月にHCCの消失を認めた。その後外来で経過観察していたが2009年10月のCTで縦隔内に径6cmの腫瘍を認めた。CTやMRIでは診断つかず生検を施行したが病理では胆管細胞癌を認めた。しかし採血ではAFP、CA19-9両方の上昇を認めたため、治療後に再発した混合型HCCと診断した。同年11月よりジェムザールによる全身化学療法を開始したが効果乏しく次第に腫瘍は増大した。2010年1月に施行した腹部血管造影にて右下横隔膜動脈を栄養動脈と同定できたため、DSMとアイエーコールを併用し動注を行った。2回の動注にて腫瘍の縮小、腫瘍マーカーの改善を認めたが、その後のCTにて腫瘍の前方への進展を認めたため同年4月より放射線療法を施行した。50Gy(2Gy×25回)の照射後腫瘍は著明に縮小し、腫瘍マーカーもほぼ正常値に改善した。 【結語】DSMは径30μm~40μmの小さなでんぷん粒子であり、ジェルパートに比べ細かい血洞の奥深くまで入り込む事で確実に腫瘍塞栓効果を期待できるといわれている。更に抗癌剤と併用すれば腫瘍内に高濃度の抗癌剤が停滞するため高い抗腫瘍効果も期待できる。今回経験した再発HCCも非常に細かい腫瘍血管を認めたためジェルパートではなくDSMを併用することでより著明な効果を認めたと思われた。また、最近はHCCの門脈塞栓や肝外転移など治療困難な症例に対し集学的治療のひとつとして放射線療法が注目されている。今回の症例も縦隔内再発であり放射線療法が良い適応と考えられるが、更に動注療法と併用できたことがその効果を高めたと思われる。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 縦隔転移 |