セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専29:

腸管気腫症を伴う門脈ガス血症に対し保存的加療で改善した超高齢者の2例

演者 佐々木 龍(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科)
共同演者 田中 康子(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 戸次 鎮宗(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 橋元 悟(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 裴 成寛(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 小澤 栄介(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 本吉 康英(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 長岡 進矢(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 阿比留 正剛(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 小森 敦正(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 石橋 大海(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
抄録 従来より門脈ガス血症は腸管壊死に伴う重篤な合併症として考えられてきた。また、腸管気腫症は腸管粘膜下・漿膜下に多発含気性気腫を形成する比較的稀な病態である。今回、我々は腸管気腫症に伴い門脈ガス血症を呈した症例を経験したので報告する。
症例1は93歳女性、脳梗塞後遺症・認知症で介護施設入所中。便秘症の既往あり。嘔吐・腹痛を主訴に来院、腹部所見で筋性防御は認めず。腹部CTでは門脈ガス像、小腸・上行結腸の腸管気腫症を認めた。腸管壊死や穿孔を積極的に示唆する所見に乏しく、高齢・高度認知症の背景もあり保存的に加療した。自然経過で門脈ガス・腸管気腫症は改善し第14病日に退院となった。
症例2は92歳女性、認知症で介護施設入所中。便秘症の既往あり。食欲低下・発熱を主訴に来院、腹部所見で筋性防御は認めず。腹部CTでは総胆管結石・胆嚢腫大と同時に門脈ガス像、小腸の腸管気腫症を認めた。腸管壊死や穿孔を積極的に示唆する所見に乏しく、高齢・高度認知症の背景もあり急性胆管炎・胆嚢炎に対し保存的に加療した。自然経過で門脈ガス・腸管気腫症は改善し第16病日に退院となった。
2例とも生理機能・ADLが著明に低下している90歳以上の超高齢者であったが、腸管循環障害・腸管壊死を伴わず良好な転帰を得ることができた。高度便秘に伴う腸管内圧上昇が腸管気腫症・門脈ガス血症の一因と推測された。
本邦における門脈ガス血症の報告例では腸管壊死の有無が重要な予後因子であり、腸管気腫症の合併を含め自験例に若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 門脈ガス血症, 腸管気腫症