セッション情報 ワークショップ2「B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策」

タイトル WS1-01:

免疫低下後のB型肝炎急性増悪、再活性化の特徴と対策

演者 杉本 理恵(九州がんセンター消化器内科)
共同演者 植田 圭二郎(九州がんセンター消化器内科), 奥村 幸彦(九州がんセンター消化器内科), 古川 正幸(九州がんセンター消化器内科), 船越 顕博(九州がんセンター消化器内科)
抄録 【目的】B型肝炎は通常HBs抗原消失で治癒と判断されるが抗癌剤等に伴う免疫抑制後の肝炎再増悪やde novo肝炎再活性化が深刻となり、ガイドラインも作成された。我々は以前から免疫抑制状態後の肝炎再増悪や再活性化の防止や加療に取り組んでいるが未だに他疾患治療中の再活性化症例を散見し啓蒙の必要性を痛感している。今回再活性化の特徴やガイドライン適否判定目的で過去のB型肝炎再増悪例と再活性化例を検討した【症例】1993~2009 年に免疫抑制状態後B型肝炎急性増悪を来した17例【原疾患】悪性リンパ腫9名、急性骨髄性白血病1名、成人T細胞白血病1名、多発性骨髄腫1名、関節リウマチ1名、固形癌3名、重症肺炎1名【原疾患に対する治療】BMT 又はPBSCT4名、抗癌剤8名(リツキシマブ1)ステロイド治療3名、その他2名【原疾患治療前のHBsAg】+8名、-9名【結果】【急性増悪迄の治療回数】sAg+:初回;4名、2回目以降;4名。sAg-;全例2回目以降【sAg陽転後増悪迄の期間】4例で検討。全例4週目以降に急性増悪【急性増悪前の骨髄抑制】sAg+;有5名、無3名、sAg-;全例有【予後】生存12例、劇症化にて死亡5例。【急性増悪後抗ウィルス剤投与開始の時期】生存例;3~14日(平均8.1日)、死亡例;2名;投与なし、3名14~45日(平均29.0日)14日後治療開始の死亡例はリツキシマブ例【結論】HBs抗原が陽性であるか否かに関わらず HBV関連マーカー陽性者では免疫抑制を伴う加療後急性増悪や再活性化の危険があるが予め適切なウィルスマーカーの測定を行えば危険性は予想しえ,時機を逃さない抗ウィルス薬治療により劇症化は防止可能である。特にリツキシマブ投与例では肝炎発症後の予後がきわめて不良である事からウィルス出現後速やかな抗ウィルス剤投与が必要である。現在にいたるもこうした症例が散見される事よりこうした点に関して広く啓蒙が必要と考える。
索引用語 de novoB型肝炎, 再活性化