| セッション情報 |
ワークショップ2「B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策」
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| タイトル |
WS1-04:de novo B型肝炎における劇症化の病態と対策
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| 演者 |
熊谷 公太郎(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
| 共同演者 |
桶谷 眞(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小田 耕平(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 最勝寺 晶子(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 橋口 正史(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 馬渡 誠一(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 呉 建(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
| 抄録 |
【はじめに】免疫抑制・化学療法の進歩とともにB型肝炎ウイルス(HBV)既往感染例からの再活性化(de novo B型肝炎)が問題となっている。今回、我々はde novo B型肝炎の劇症化例について検討したので報告する。【対象と方法】2006年から2008年までに当科で診断したde novo B型肝炎は5例であり、その臨床背景、臨床検査所見、ウイルス学的背景を解析した。全国調査におけるde novo B型劇症肝炎例の解析と合わせて、劇症化要因と予防対策について検討した。【結果】de novo B型肝炎の5例中4例は肝炎発症前のHBs抗体またはHBc抗体が陽性であった。悪性リンパ腫の3例ではリツキシマブ・ステロイド併用化学療法が実施されており、エンテカビル治療を行ったが2例が劇症化、2例がキャリア化した。末梢血幹細胞移植(PBSCT)は悪性リンパ腫の1例、多発性骨髄腫の1例に行われており、エンテカビル治療によりそれぞれ治癒もしくはキャリア化した。うち1例は予防的なラミブジン投与中止3カ月後の発症例であった。検査所見では劇症化例は非劇症化例に比べ、T-bilが高値(27.6vs3.7 mg/dl,p=0.08)、PTが低値(20vs81 %, p=0.08)、ALTが低値(189vs1357 IU/L, p=0.24)、HGFが高値(4.4 vs0.61, p=0.12)の傾向であった。ウイルス学的背景は全例がgenotypeCであったが、劇症化例はHBV DNA量が高値で、2例ともPCおよびCP変異を有していた。IgM-HBc抗体価は劇症化例で低値(0.1vs28.3 S/CO, p=0.08)であり、末梢血中CD20は2例とも検出されなかった。 【まとめ】de novo B型肝炎の劇症化はリツキシマブとステロイド併用との関連性が強かった。背景にCD20の低下とPCおよびCP変異を有するウイルスの顕著な増殖がみられた。ALTは低値ながら肝不全が進行しており、肝炎以外の劇症化要因が示唆された。非劇症化例の臨床経過との比較から、厚生労働省によるB型肝炎対策ガイドラインの有用性が示唆された。 |
| 索引用語 |
HBV再活性化, 劇症肝炎 |