セッション情報 |
研修医発表(卒後2年迄)
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タイトル |
研37:イレウスにて緊急手術を必要としたMorgagni孔ヘルニアの1例
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演者 |
千早 啓介(五島中央病院内科) |
共同演者 |
庄司 寛之(五島中央病院内科), 大場 一生(五島中央病院内科), 吉川 大介(五島中央病院内科), 神田 哲郎(五島中央病院内科) |
抄録 |
症例は67歳女性。主訴は腹痛と嘔吐。以前より繰り返す腹痛を自覚していた。2010年7月16日(第1病日)、臍周囲に腹痛が増強したため外来受診。鎮痛剤を処方されるが治まらず、この頃より食事摂取困難となり、排便も認めなくなった。第4病日未明、腹痛に加え、頻回嘔吐が出現したため再度受診。再診時、微熱および臍周囲に圧痛を認めるも、症状は落ち着いており血液データ上も軽度炎症反応亢進を認める以外、他に明らかな異常は認めなかった。短期間で症状を繰り返すため精査加療目的にて、同日入院となった。腹部単純X線写真では右側横行結腸より口側腸管の著明な拡張を認めた。胸腹部CTでは、右胸腔内へ脂肪織とともに脱出する横行結腸を認め、右傍胸骨ヘルニア(Morgagni孔ヘルニア)と診断した。上行結腸は強く拡張し、横行結腸がヘルニア門で狭小化しており腸閉塞を来していると判断し、第5病日に緊急手術を実施。上腹部正中切開にて開腹。Morgagni孔に横行結腸と大網が嵌入しており、用手的に容易に腹腔内へ還納した。ヘルニア門は約2横指大であり、メッシュ固定によるヘルニア門閉鎖術を施行した。経過良好にて第22病日に退院。Morgagni孔ヘルニアは横隔膜ヘルニアの中でも比較的稀な疾患である。無症状のまま検診・レントゲン検査等で発見されることも多く、本症例も2002年胸部CTにて、脂肪組織の脱出を伴うMorgagni孔ヘルニアの所見を認め、経過観察となっていた。このときの詳細な経緯は不明であるが、本疾患は自然治癒の可能性はなく、無症状例でも脱出臓器の嵌頓、絞扼、穿孔の危険性があり、手術が原則とされ、強く手術を勧めるべきであったと反省される。今回、イレウス症状を有し手術治療となったMorgagni孔ヘルニアの一例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
Morgagni孔, 横隔膜ヘルニア |