セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 92:潰瘍性大腸炎の経過中に高安動脈炎を合併し、インフリキシマブが著効した一例 |
演者 | 岸 昌廣(福大筑紫病院消化器内科) |
共同演者 | 高木 靖寛(福大筑紫病院消化器内科), 久部 高司(福大筑紫病院消化器内科), 矢野 豊(福大筑紫病院消化器内科), 松井 敏幸(福大筑紫病院消化器内科), 光藤 利通(筑紫病院放射線科), 中島 力哉(筑紫病院放射線科), 久保田 和充(筑紫病院内科第一), 山之内 良雄(筑紫病院内科第一) |
抄録 | 患者は20歳代、女性。発症後8年のステロイド依存性全結腸炎型潰瘍性大腸炎(UC)である。5ASA、アザチオプリン(AZA)、プレドニゾロン(PSL)、血球除去療法で治療されたが、血便、腹痛の再燃を繰り返し、PSLを離脱できない状態であった。2009年9月、PSLを5mg/日に減量したところ時折左頚部痛が出現した。その後、腹痛、血便もあり血球除去療法を併用したが改善なく、PSLを30mg/日に増量したところ血便、腹痛、左頚部痛は消失した。2010年6月、PSLを12.5mg/日まで減量したところ38度の発熱、WBC14300/μL、赤沈69mm(60分)、CRP7.36mg/dLと炎症所見が再燃、血便、左頚部痛も増悪したためUCおよび左頚部痛の精査、加療目的に入院となった。大腸内視鏡検査では樹枝状潰瘍、びらんを認め中等度活動性の所見であった。左頚部痛に関しては、理学所見上、血管雑音や血圧の左右差は認めなかった。しかし、造影CTでは左総頚動脈に限局した血管内腔狭小化を認めた。造影MRIでは血管内膜を主体とした壁肥厚を認め高安動脈炎(TA)に合致する所見であった。リウマチ因子は陰性、γグロブリン、IgGやIgAの上昇はなかったがHLA typingではB52を認めた。画像上、血管壁肥厚は左総頸動脈のみに限局するものであり、血管造影の分類でいうところのI型であった。PSL依存例であり、インフリキシマブ(IFX)による治療を行った。IFX1回投与後すみやかに血便、腹痛、頚部痛は消失し、血液検査では炎症所見の改善も認めた。IFX2回投与後の大腸内視鏡検査では軽度の発赤や小潰瘍は認めるものの大腸病変も著明に改善した。また治療後のCTでは左頸動脈の内腔狭小化も改善し、IFX投与後にTAの改善も認めた。今回、UCの経過中にTAを合併し、IFXで改善を認めた症例を経験したので文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 高安動脈炎 |