セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研52:右房近傍まで進展した膵仮性嚢胞の一例 |
演者 | 荒木 智徳(長崎大学病院消化器内科) |
共同演者 | 赤澤 祐子(長崎大学病院消化器内科), 大仁田 賢(長崎大学病院消化器内科), 足立 智彦(長崎大学第二外科), 黒木 保(長崎大学第二外科), 山口 直之(長崎大学病院消化器内科), 磯本 一(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科) |
抄録 | 症例は78歳男性。焼酎一日1~3合×55年の飲酒暦があった。平成19年9月より慢性膵炎と診断され、これまでに数回、急性増悪のため治療を受けていた。平成22年3月13日、右側腹部~胸部痛を自覚したため近医受診した。血液検査上膵酵素と炎症反応の上昇、腹部エコー検査上主膵管の拡張、膵頭部に1.47×2.0cmの膵石を認めたため、慢性膵炎急性増悪と診断され、膵酵素阻害剤で治療された。同年4月12日、精査加療目的で当科入院となった。入院時も右側腹部痛が持続しており、血液検査所見では AMY 513 IU/l, P-AMY 470 IU/l と膵酵素の上昇を認めた。腹部造影CT上膵実質は萎縮し、膵管拡張が見られた。膵頭部に2cm大の膵石を認め、その尾側の膵管と連続する膵仮性嚢胞と思われるlow density areaが下大静脈を取り囲むように見られ、横隔膜を超えて右房外側まで達していた。腹部CTおよび腹部MRI検査上、嚢胞は主膵管と連続していると考えられた。ERCPは膵石による主膵管の狭窄が高度であったため施行できなかった。以上の所見より主膵管に存在する膵石により、膵液流出障害を引き起こし、慢性膵炎急性増悪と仮性膵嚢胞をきたしたと考えられた。入院後より約3週間絶食輸液とし、膵酵素阻害剤の点滴を行ったところ、腹痛は消失し同5月6日の腹部造影CT検査で膵仮性嚢胞は著明に縮小していた。一方、膵石については腹部単純写真で指摘できず、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)の適応外であると考えられた。同6月18日腹腔鏡補助下膵管減圧術 (Partington手術)が施行された。膵炎による膵石に合併した膵仮性嚢胞が下大静脈を囲むように右房近傍まで伸展し、絶食輸液により改善した一例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 膵仮性嚢胞, 膵石 |