セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研94:多発する脳梗塞と凝固異常を契機に肝門部胆管癌が発見された一例 |
演者 | 天野 夢子(鹿児島県立大島病院 消化器科) |
共同演者 | 軸屋 賢一(鹿児島県立大島病院 消化器科), 中澤 潤一(鹿児島県立大島病院 消化器科), 佐々木 文郷(鹿児島県立大島病院 消化器科), 橋元 慎一(鹿児島県立大島病院 消化器科DELIMITER鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 嵜山 敏男(鹿児島大学病院 光学医療診療部), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【はじめに】悪性腫瘍により凝固亢進状態を生じ、脳動脈・静脈血栓症を併発し脳卒中を引き起こすために、様々な神経症状を呈する病態をTrousseau症候群といい、傍腫瘍性神経症候群の一つに挙げられている。また、同患者の予後を最も左右するのは原疾患の治療の成否とされている。我々は、多発する脳梗塞と凝固異常を契機に肝門部胆管癌が発見されたTrousseau症候群の一例を経験した。【症例】60歳代の男性。2010年2月上旬、仕事中に呂律が回らないことを自覚し、当院神経内科を受診した。脳血栓症と診断され当院第1回目の入院となった。入院後、加療により構語障害は改善したが、凝固異常(D-dimer 14.5 μg/ml)を認めていたことから抗凝固療法が開始され、3月上旬退院となった。6月中旬、歩行時の違和感が出現。当院神経内科にて脳血栓症の再発と診断され、同院2回目の入院となった。入院時の血液検査にてD-dimer 53.6μg/mlと著明な高値を示し、頭部MRI検査では両側に散在する梗塞巣を認めた。血栓症の原因となる循環器疾患を認めないことから、悪性疾患の精査目的に腹部CT検査を施行した。同検査で、肝S4に嚢胞状変化および肝内胆管拡張を認め、当科紹介となった。CA19-9は異常高値(10,022U/ml)であり、PET-CT検査では、肝内に多発する異常集積を認め、肝門部胆管癌および肝内転移と診断した。再発性・多発性脳血栓症の原因については、悪性腫瘍により過凝固状態になるTrousseau症候群と考えられた。その後も、脳血栓症を繰り返しており、現在化学療法を検討中である。【結語】凝固異常を伴う再発性・多発性脳血栓症では、原因として悪性腫瘍の存在を念頭に入れ、腹腔内臓器も含めた全身精査を行うことが重要であると思われた。Trousseau症候群の原因として胆管癌は稀とされており、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | Trousseau症候群, 肝門部胆管癌 |