セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研09:急性穿孔性虫垂炎で発症した盲腸癌の一例 |
演者 | 大西 峻 (霧島市立医師会医療センター 外科) |
共同演者 | 吉川 弘太(霧島市立医師会医療センター 外科), 久米村 秀(霧島市立医師会医療センター 外科), 二渡 久智(霧島市立医師会医療センター 外科), 風呂井 彰(霧島市立医師会医療センター 外科), 菰方 輝夫(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・消化器疾患制御学), 井本 浩(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・消化器疾患制御学) |
抄録 | (症例)80代男性(主訴)腹痛(既往歴)糖尿病、狭心症、高脂血症で内服中(現病歴)平成22年7月上旬に右下腹部痛を自覚。発症後3日しても軽快しないため近医受診。右下腹部の圧痛著明、腹膜刺激症状及び筋性防御をみとめ、エコーで虫垂炎を疑われ当院紹介受診。腹部エコーで穿孔の疑われる壊疽性虫垂炎と診断され、緊急手術目的に入院。(入院時所見)体温:37.4度。血圧:191/91。右下腹部を中心に筋性防御あり。腹部エコー:虫垂、回盲末端~回盲部~上行結腸の一部まで著明に肥厚している。虫垂の層構造は一部途絶。周囲腸間膜のエコーレベル上昇し多数の腫大リンパ節を認める。(経過)当院来院同日に緊急虫垂切除術を施行。腹腔内全体に膿汁が貯留し、汎発性腹膜炎を呈していた。虫垂、回盲末端~回盲部~上行結腸の一部まで著明な炎症所見および膿瘍形成があり、虫垂の根部で穿孔がみられ、虫垂切除を行った。術後経過は良好であったが、術後19日目にドレーンからの便汁様の排液が出現し、術後20日目の造影検査で腸管との交通を認めた。切除した虫垂の病理検査で、虫垂粘膜面ではなく、漿膜面にTubular adenocaricinomaを認めたため全身検索を行った。下部消化管内視鏡検査で回盲部に全周性の腫瘍を認め、盲腸癌と診断された。PET-CTで右下腹部に高度異常集積を認め、傍結腸~腸間膜リンパ節の多発リンパ節転移、腹膜播種を疑われた。虫垂炎術後30日目に右結腸切除術+D3を施行。回盲部は腫瘤を形成し一塊となっており、後腹膜側、腹壁への浸潤も疑われたため、合併切除した。術後病理報告で、盲腸癌の壁深達度はSSで虫垂粘膜はintactであったことから、漿膜下を浸潤した癌により虫垂根部が狭窄し、虫垂の穿孔を来したと考えられた。 急性穿孔性虫垂炎で発症した盲腸癌の一例を経験したので、若干の文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 穿孔性虫垂炎, 盲腸癌 |