セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研76:全消化管にアフタ様病変を認めたCrohn病の1例 |
演者 | 日高 亮(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科) |
共同演者 | 新原 亨(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 西俣 伸亮(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 永田 優子(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 今村 誠子(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 政 幸一郎(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 川畑 拓也(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 鳥丸 博光(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 島岡 俊治(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 田代 光太郎(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 松田 彰郎(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 仁王 辰幸(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 西俣 嘉人(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 堀 雅英(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 西俣 寛人(社団法人鹿児島共済会 南風病院 消化器内科), 田中 貞夫(社団法人鹿児島共済会 南風病院 病理診断科), 小牧 沙織(豊島病院) |
抄録 | 症例は30歳男性。2007年頃より腹痛を繰り返していた。2008年頃からは、毎日4、5行の下痢、月の半分以上で腹痛・微熱を認めるようになった。2010年3月3日、40℃の発熱と腹痛(始めは左下腹部で徐々に上腹部まで)が出現し、その後も症状軽快しなかったため3月8日、近医を受診した。診察上るいそうが著明で、口腔内病変(アフタ性潰瘍)を認めた。採血では、WBC 17400/μl、CRP 9.9mg/dlと炎症所見を認めた。3月9日、上下部消化管内視鏡を施行され、異常を認めたために3月11日精査加療目的で当科紹介入院となった。入院時の上部消化管内視鏡像及びX線像では口腔内、食道、胃、十二指腸に小潰瘍・びらんが散在していた。さらに下部消化管内視鏡像及びX線像では大腸に白苔を伴う小さな円型のびらんがびまん性に認められ、Bauhin弁下唇にはやや大きな潰瘍があった。また、胃、十二指腸および大腸のアフタ様病変の生検組織にて、Langhans型巨細胞を伴う非乾酪性肉芽腫を認めたことからCrohn病の診断となった。入院後、5-ASA 3000mg/日、ステロイド 40mg/日を開始した。投与後30日目には自覚症状が改善し、WBC 11610/μl、CRP 0.1mg/dlと炎症所見も正常化した。同時期に上下部消化管内視鏡検査を施行したところ、全消化管に認めたアフタ様病変は、口腔内では縮小傾向を示し他の消化管では、ほぼ消失していた。Crohn病は全消化管に病変をきたしうるとされているが、本症例は約3年の罹病期間と考えられるにも関わらずCrohn病に典型的とされている縦走潰瘍や敷石像といった所見を欠き、なおかつアフタ様病変を全消化管に認めたとされる数少ない報告の1つである。貴重な症例と考えられたため若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | Crohn病, アフタ |