セッション情報 |
研修医発表(卒後2年迄)
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タイトル |
研87:アザチオプリンが奏効した原因不明の慢性活動性肝炎の1例
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演者 |
富里 孔太(ハートライフ病院) |
共同演者 |
佐久川 廣(ハートライフ病院), 城間 丈二(ハートライフ病院), 新城 勇人(ハートライフ病院), 折田 均(ハートライフ病院), 宮城 純(ハートライフ病院) |
抄録 |
症例は67歳,女性.2009年4月より高血圧症でロサルタンカリウムとヒドロクロロチアジドの配合剤を服用開始していた.その頃より軽度の肝機能障害が指摘されていた.2009年6月の検診で肝機能障害を指摘.その後の検査にてGOT 434,GPT 537まで上昇.2009年7月,当科受診.自己免疫性肝炎の疑いで入院となった. 身体所見上,血圧178/88 mmHgと高血圧を認めたが、黄疸,肝脾腫,下腿浮腫等は見られなかった.入院時,GOT 178,GPT 252,T-Bil 1.0,PT活性% 95%,肝炎ウイルスマーカー,自己抗体は陰性であった. 入院後グリチルリチン製剤の点滴静脈注射で治療.肝生検を行い,活動性慢性肝炎の所見が得られた.自己免疫性肝炎の診断基準を満たさなかったが,活動性肝炎の所見が強かったため,ステロイドの適応と判断し,プレドニン30 mgより開始した.その後トランスアミナーゼは安定化し,2009年8月に退院となった. 退院後,プレドニンを漸減したところ,肝酵素の上昇を認め,再びプレドニンを増量した.その後プレドニンの副作用が出現したため,アザチオプリンを併用したところ,トランスアミナーゼ値の改善がみられ,プレドニンを減量中止することができた. 本症例は自己免疫性肝炎,薬剤性肝炎が疑われるが,自己抗体が陰性で,原因と考えられる薬剤の中止後も肝障害が持続しており,どちらの場合も診断の決め手を欠いている.恐らく,薬剤が引き金となって自己免疫性肝炎が発症したと考えられる. |
索引用語 |
肝炎, 自己免疫性 |