セッション情報 ワークショップ3「消化器疾患に対する低侵襲手術(ビデオ)」

タイトル WS3-04:

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術における手術侵襲の軽減化

演者 亀井 英樹(朝倉医師会病院 外科)
共同演者 今村 真大(朝倉医師会病院 外科), 真栄城 兼誉(朝倉医師会病院 外科), 中山 剛一(朝倉医師会病院 外科), 島 一郎(朝倉医師会病院 外科), 鈴木 稔(朝倉医師会病院 外科), 辻 義明(朝倉医師会病院 外科), 白水 和雄(久留米大学病院 外科)
抄録 【目的】臍部1か所からのアプローチ法を特徴とする単孔式手術は,整容性に優れた術式として急速に普及している.しかし,そのアクセス法や手技・デバイスは様々であり定型化されているとは言えない.単孔式であるために操作性が犠牲になることも避けられず,本術式が整容性の他に従来法と比べて何が優れているのか議論もある.その一つとして,術後侵襲に関しては従来法と変わらないとの報告も散見される.我々の施設も2009.10より単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入したが,術後疼痛に関しては期待ほどではなかった.そこで,本術式の低侵襲性をより高めるために,超音波ガイド下腹直筋鞘ブロックを併用することを当科では試みている.今回,現時点での本術式に対する基本手技と超音波ガイド下腹直筋鞘ブロックについて報告する.【対象】当院で施行した単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術15例(腹直筋神経鞘ブロック併用8例).【方法】1.手技・デバイスについて:導入時は,臍上部の弧状切開創から,multi trocar法でアクセスしていたが,現在は,臍部縦切開の後SILS PortTMを挿入.手技に関しては,必ず屈曲鉗子を導入時は使用していたが,現在は通常鉗子を主に使用しながら,状況により適宜屈曲鉗子を使用している.2.本術式(TANKO)に超音波ガイド下腹直筋鞘ブロック(RSB: rectus sheath block)を併用することで,術後の鎮痛剤使用回数,期間および鎮痛効果を従来法(Conventional)と比較検討した.【結果】1.SILS PortTM使用:13/15例.屈曲鉗子使用:8/15例. 平均手術時間:88分.平均出血量:5g. 2.鎮痛剤使用回数:Conventional 2.9回に対してRSB-TANKO 1.25回(p<0.05).鎮痛剤使用期間:Conventional 2.0日に対してRSB-TANKO 1.1日(n.s.). 術後疼痛スコア(0-4h):Conventional 3.2に対してRSB-TANKO 1.3.(p<0.01). 術後疼痛スコア(4-8h):Conventional 2.5に対してRSB-TANKO 0.8(p<0.01).【まとめ】本術式をより普及させるには,術後疼痛を軽減させる必要性があり,超音波ガイド下腹直筋鞘ブロックは有効な方法と考える.
索引用語 単孔式, 腹直筋鞘ブロック