セッション情報 特別企画2「これからを担う消化器専門医の育成:われわれの取り組みと課題-外科の立場から-」

タイトル SP2-02:

医学生に対する外科手術教育

演者 佛坂 正幸(宮崎大学 腫瘍機能制御外科)
共同演者 千々岩 一男(宮崎大学 腫瘍機能制御外科)
抄録 【目的】進路を決めていない医学生が,外科手術の魅力をいかに感じるかということは,将来外科を選択する際に重要と思われる.当科では手術ビデオ供覧による視聴覚機器教育を行っている.その有用性について検討した.【対象】 [検討1] 当科では学生教育として,1:手術室での肉眼観察(肉眼),2:術野のモニター(モニター),3:術前後カンファレンスでのスライド(スライド),4:術後カンファレンスで5分程度に編集したビデオ(ビデオ)を使った臨床外科教育を取り入れている.実習後,学生に,1:術野の視認性(視認性),2:手術操作・内容の理解(理解),3:手術に対する興味(興味)のアンケート調査を行い,それぞれ5段階の回答を用意し,1~5点に点数化し,スコアを計算した. [検討2] 同様のアンケートを 1.肉眼による開腹手術見学(開腹肉眼)2. モニターによる開腹手術見学(開腹モニター),3. 腹腔鏡手術(腹腔鏡モニター)に分けて行った.統計処理は多群間比較はKrusukal-Wallis法およびMann-Whitney U 法で行った.2群間比較はMann-Whitney U 法により行い,pが0.05以下で有意とした.【結果】[検討1]学生129人(5年生98人,6年生31人)より回答を得た.視認性では,肉眼(2.8点,平均)が,モニター(4.4点),スライド(4.8点),ビデオ(4.7点)に比べ有意(いずれも p<0.001)に低いスコアであった.内容の理解は肉眼(3.7点)では,モニター(4.0点, p<0.01),スライド(4.1点, p<0.001),ビデオ(4.2点, p<0.001)に比べ低いスコアであった.手術に対する興味はいずれも良いスコアであった.[検討2] 学生207人(5年生145人,6年生62人)より回答を得た.視認性では,開腹肉眼(3.0点)が,開腹モニター(4.3点),腹腔鏡モニター(4.5点)に比べ有意(いずれも p<0.001)に低いスコアであった.手術内容の理解も同様であった.興味対するスコアはいずれも良かった.【まとめ】外科手術教育では術中モニターや術後カンファレンスでのスライド,ビデオの利用は有用であると思われた.学生は開腹手術,腹腔鏡手術のいずれも興味を持って見学していた.
索引用語 医学教育, 視聴覚機器