セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研98:

慢性関節リウマチに対するメトトレキサート投与中に発症した肝原発悪性リンパ腫の1例

演者 松野 雄一(新日鐵八幡記念病院 消化器科)
共同演者 山下 尚毅(新日鐵八幡記念病院 消化器科), 大穂 有恒(新日鐵八幡記念病院 消化器科), 梶原 英二(新日鐵八幡記念病院 消化器科), 吉屋 匠平(新日鐵八幡記念病院 外科), 杉町 圭史(新日鐵八幡記念病院 外科), 東 秀史(新日鐵八幡記念病院 外科), 下釜 達朗(新日鐵八幡記念病院 病理部), 金城 満(新日鐵八幡記念病院 病理部)
抄録 症例は81歳女性。2000年より慢性関節リウマチに対しメトトレキサート(MTX)8mg 内服していた。狭心症、逆流性食道炎で当院に通院中、2009年10月1日に施行した心エコーで偶然肝外側区に腫瘤を認めた。2ヶ月半前のCTと比較して肝腫瘤は8mmから28mmと明らかな増大傾向がみられた。血液検査では貧血は認めるも肝機能検査値はほぼ正常。AFP、PIVKA2、CEA、CA19-9は正常であったが、可溶性IL2レセプターは779 U/ml。CT、MRI上腫瘤は造影効果がほとんどなく、肝内胆管癌、転移性肝腫瘍などが疑われ上下部内視鏡検査施行するも明らかな原発巣は認められなかった。さらにFDG-PETでも肝以外の部位に明らかな異常集積は認めなかった。肝腫瘍生検では膿瘍の診断であったが、発熱や炎症反応上昇はなく炎症性偽腫瘍疑いで経過観察していた。その後も肝腫瘤は縮小せず、悪性の可能性が否定できないため12月25日に肝外側区域切除施行した。病理検査結果で悪性リンパ腫(diffuse large B cell type)と診断され、EBウイルス陽性であった。術後MTX中止し化学療法治療中である。
本症例は慢性関節リウマチに対するMTX投与中に発症した肝原発悪性リンパ腫の1例である。メトトレキサートによる悪性リンパ腫は、多くは慢性関節リウマチでMTX投与を受けている患者に発生し免疫抑制状態におけるEBウイルス再活性化が関与していると考えられている。MTX関連悪性リンパ腫で肝原発の報告例はなく、若干の考察を加え報告する。
索引用語 悪性リンパ腫, メトトレキサート