セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研84:成人T細胞性白血病に伴う血球貪食症候群により発症したと考えられた急性肝炎重症型の一例 |
演者 | 前原 史朋(長崎大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 三馬 聡(長崎大学病院 消化器内科), 赤司 太郎(長崎大学病院 消化器内科), 三根 祥一郎(長崎大学病院 消化器内科), 福田 祥子(長崎大学病院 消化器内科), 山口 東平(長崎大学病院 消化器内科), 大谷 正史(長崎大学病院 消化器内科), 松崎 寿久(長崎大学病院 消化器内科), 村岡 徹(長崎大学病院 消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院 消化器内科), 宮明 寿光(長崎大学病院 消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院 消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院 消化器内科), 阿部 邦子(長崎大学病院 病理部), 林 徳真吉(長崎大学病院 病理部), 萩原 久美(長崎市立病院成人病センター消化器内科), 福田 康弘(長崎市立病院成人病センター消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は53歳女性。2010年4月23日より37℃台の微熱、食思不振を自覚したため26日近医を受診し肝機能障害について指摘され、精査加療目的のため27日当院へ紹介入院となった。既往歴は特になし、家族歴として母がB型肝炎、父が骨髄性白血病と指摘されたことがあるが詳細は不明。飲酒歴、薬物内服歴なし。身体所見は、眼球結膜に黄染あり、胸腹部所見では特記事項無し、羽ばたき振戦等の神経精神症状は認めなかった。入院時血液検査にて白血球数 3400 /μl(Seg 67%、Ly 21%、Ab-Ly 5%)、ヘモグロビン 13.7 g/dl、血小板数 8.8万/μl、PT 42 %、総ビリルビン 7.7 mg/dl、直接ビリルビン 5.6 mg/dl、AST 6361 IU/ml、ALT 4888 IU/ml、LDH 2752 IU/mlフェリチン14654ng/ml、HGF 1.84 ng/ml、sIL2R値5020U/ml、IgM型HAV抗体陰性、HBs抗原陰性、IgM型HBc抗体陰性、HBVDNA陰性、HCV抗体陰性、HCVRNA陰性、抗核抗体陰性、LKM-1抗体陰性、抗HTLV-1抗体陽性であった。これらの所見より成人T細胞性白血病リンパ腫(ATLL)を疑い骨髄穿刺を施行し、異常リンパ球の骨髄浸潤とともに、血球貪食像が観察された。また肝生検では、広範な肝細胞の脱落がみられ、門脈域に軽度のリンパ球浸潤を認めたが、小葉内、門脈域ともに明らかな異常リンパ球浸潤は確認されなかった。以上より、急性型ATLLに血球貪食症候群を合併し、急性肝障害を呈したと診断。ステロイドパルス療法を先行した後、ATLLに対するmodified LSG15療法(アドリアマイシン40mg、ビンクリスチン1.0mg、シクロホスファミド350mg、プレドニゾロン40mg)を施行し肝機能障害は著明に改善した。ATLLに伴う肝障害は、重症化すると予後不良であることが報告されている。ATLLと急性肝不全の関連について若干の文献的考察を加えて報告する。(本症例の診断に際し、助言いただいた当院原研内科、谷口広明先生、今泉芳孝先生に深謝致します) |
索引用語 | 急性肝不全, 成人T細胞性白血病リンパ腫 |