セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研60:

C型慢性肝炎に対するPeg-IFN+Ribavirin 併用療法中に抑うつ状態を呈し,IFN-β+Ribavirin併用療法に変更し治療継続できた2症例

演者 横尾 摩耶(佐賀大学医学部内科学)
共同演者 磯田 広史(佐賀大学医学部内科学DELIMITER医療法人ロコメディカル 江口病院), 江口 有一郎(佐賀大学医学部 総合診療部DELIMITER医療法人ロコメディカル 江口病院), 大枝 敏(佐賀大学医学部内科学), 桑代 卓也(佐賀大学医学部内科学), 岩根 紳治(佐賀大学医学部内科学), 河口 康典(佐賀大学医学部内科学), 水田 敏彦(佐賀大学医学部内科学), 尾崎 岩太(佐賀大学医学部内科学), 小野 尚文(医療法人ロコメディカル 江口病院), 江口 尚久(医療法人ロコメディカル 江口病院), 中山 真一(神埼クリニック), 藤本 一眞(佐賀大学医学部 総合診療部)
抄録 【背景】C型慢性肝炎に対するPeg-IFN+Ribavirin (RBV)併用療法の副作用の中でも抑うつなどの精神的副作用はadherenceに影響を及ぼす。今回、IFNβ+RBVへ変更し治療継続が可能であった2症例を経験した。【症例1】54歳男性。まじめで几帳面な性格。Genotype 2b、HCV-RNA 7.2 log IU/ml、再治療例。PEG-IFNα2a 180μg+RBV 1000mgを開始。5週目よりイライラ・暴言・突発衝動的な行動を認め、家庭内暴力に発展していることを家人より聴取。治療中止を考慮したが、本人・家族が治療継続を希望したため、十分なインフォームドコンセントを取得し25週よりβ+RBVへ変更した。29週頃より精神症状の安定が得られ、48週間のIFN治療を完遂しSVRを達成した。【症例2】51歳女性。まじめで明るい性格。Genotype1b、HCV-RNA log 6.2 IU/mlであり、PEG-IFNα2b 80μg+RBV 600 mgを開始した。3週目より頭痛・全身倦怠感・嘔気・めまいに加え、無気力感が出現し、増悪。7週目には食事摂取困難となり、入院となった。精神科医の診察で重度の抑うつ状態と診断され、IFN治療の中断と安静により徐々に軽快した。8週でウイルスの陰性化が得られていたため、本人・家族と相談し入院下でβ+RBV併用療法へ変更し治療継続した。変更後5日目より精神症状の著明な改善を認め、外来での継続治療へ移行した。現在12週目でウイルスは陰性である。【考察】IFNによる抑うつ状態の特徴としては、精神運動抑制型(いわゆるうつ状態)と活動型(強い不安・いらいら・攻撃性)が知られている。IFNβは精神的副作用が少ないとされ、いずれの抑うつ状態であっても精神的負担の強い症例ではβ+RBV療法が有用な治療選択となり得ることが示唆された。
索引用語 インターフェロン治療, 副作用