セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
53:下血を繰り返した小腸vascular ectasiaの1例
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演者 |
迫田 敏(藤元早鈴病院) |
共同演者 |
駒田 直人(藤元早鈴病院), 梅村 敏郎(藤元早鈴病院), 上野 真一郎(藤元早鈴病院) |
抄録 |
繰り返す下血に対して小腸カプセル内視鏡(CE)を行い小腸vascular ectasiaと診断した。ダブルバルーン内視鏡(DBE)が癒着により挿入困難のため止血処置できず、腹部血管造影(AG)にて止血しえた症例を経験したので報告する。【症例】86歳 女性 平成17年8月1回目下血を認めて近医入院、上下内視鏡検査にて異常なく、保存的加療で症状改善している。平成21年1月2回目下血、以降平成21年12月までに計5回の下血を認めている。その間に上下内視鏡検査、腹部CT、小腸造影が繰り返し行われたが、下血の原因は不明であった。1月26日6回目下血を認め、1月28日当院受診となった。受診時、下血改善していたが、貧血を認めて入院となった。入院後に輸血投与を行い、上・下内視鏡検査、腹部造影CT検査を行ったが異常無かった。CEにて回腸近位部に発赤を認めてvascular ectasia(酒井らの分類O群)と診断した。2月15日に下部DBEを施行、挿入途中で腸管口側より多量の血液を認めている(7回目下血)。約3m挿入したが出血点まで到達できず、クリップを行い終了した。上部DBEを施行、約1m地点で癒着を認めてそれ以上の挿入困難であった。下血は翌日には改善しており、AGによる止血は難しいと判断して退院となった。7月5日8回目下血を認めて緊急AGを施行した。上腸間膜動脈造影で回結腸動脈分岐枝後5分岐目遠位動脈に局所的な拡張、狭窄、蛇行所見および腸管内への血管外露出を認めて責任病変と診断した。同動脈の最終アーケードよりコイルで塞栓止血術を行った。術後は、下血なく経過している。【まとめ】下血を繰り返した小腸vascular ectasiaを経験した。診断としてCEが有用であり、活動性小腸出血に対しては、DBEによる処置のみでなくAGによる止血も有用と思われた。消化管出血に対してのAGによる止血は、AGを行うタイミングが重要であると思われた。 |
索引用語 |
カプセル内視鏡, 腹部血管造影 |