セッション情報 | ワークショップ2「B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策」 |
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タイトル | 116:当院における免疫抑制・化学療法前のHBc抗体測定の実態とその対策 |
演者 | 早田 哲郎(福岡大学消化器内科) |
共同演者 | 西澤 新也(福岡大学消化器内科), 森原 大輔(福岡大学消化器内科), 坂本 雅晴(福岡大学消化器内科), 阿南 章(福岡大学消化器内科), 竹山 康章(福岡大学消化器内科), 入江 真(福岡大学消化器内科), 岩田 郁(福岡大学消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科) |
抄録 | 【背景】免疫抑制剤使用時および化学療法時のHBV再活性化は、一旦起こすと致死的な重症肝炎を引き起こすため問題になっている。特に最近は、免疫抑制剤や免疫抑制効果の強い分子標的治療薬が、さまざまの疾患において広く使用されるようになり、HBs抗原陰性の潜在性HBV感染からの発症を含め、HBV再活性化の増加が危惧される。したがって、このような治療の前には潜在性HBV感染をスクリーニングする必要があり、HBc抗体測定が推奨されている。【目的と方法】当院における免疫抑制・化学療法前のHBc抗体測定の実態を調査し、その後、検査の普及のために我々が行なってきたことを紹介し、それに対応するHBc抗体の測定件数の増加を報告する。【成績】当院において、新規に免疫抑制・化学療法を開始される患者は、月に20名強と推定されるが、2008年4月から2009年5月までにHBc抗体を測定された患者は、約4割に相当する121名であった。HBs抗原陽性キャリアに対し免疫抑制・化学療法前にエンテカビルを開始された4例を除くと、潜在性HBV感染は29例/117例(25%)であった。このうち、その後の経過フォローがなされている症例はわずか10例であった。この実態を踏まえ、その後、我々は院内の教育講演による注意喚起や、免疫抑制・化学療法における様々なシステム改良に取り組んできた。その結果、HBc抗体の測定件数は増加してきている。【結論】我々の活動は徐々にではあるが効果を上げている。しかし、まだ尚、他科の医師においてHBV再活性化の認識度は低い。一方で、免疫抑制・化学療法時の薬物性肝障害は日常茶飯事であることから、治療中に肝障害が起こっても危機感が少ない。我々肝臓専門医が中心となって、免疫抑制・化学療法によるHBV再活性化についてさらに啓蒙活動を続けていく必要があると考えられた。 |
索引用語 | B型肝炎, 再活性化 |