セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研64:下大静脈進展肝腫瘍に対する胸骨縦切開付加経胸経腹アプローチによる肝切除の1例 |
演者 | 枝川 真(九州大学病院 臨床研修センター) |
共同演者 | 原田 昇(九州大学大学院 消化器・総合外科), 伊地知 秀樹(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉松 正憲(九州大学大学院 消化器・総合外科), 内山 秀昭(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉住 朋晴(九州大学大学院 消化器・総合外科), 武冨 紹信(九州大学大学院 消化器・総合外科), 調 憲(九州大学大学院 消化器・総合外科), 園田 拓道(九州大学大学院 循環器外科), 西田 誉浩(九州大学大学院 循環器外科), 富永 隆治(九州大学大学院 循環器外科), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器・総合外科) |
抄録 | 【はじめに】巨大肝腫瘍や下大静脈に進展した肝腫瘍に対しては、出血量を軽減し手術の安全性を確保することが重要である。今回我々は、下大静脈に進展した巨大肝腫瘍に対して胸骨縦切開付加経胸経腹アプローチにてVVバイパスを行い、安全に肝切除を施行し得た症例を経験したので報告する。【症例】患者は54才、男性。2010年3月より心窩部痛を自覚し、CT検査にて巨大肝腫瘍を指摘され、当院紹介となった。既往歴は高血圧症。造影CT検査では後区域を中心とした13cm大の不整形の腫瘍を認め、右肝静脈内に腫瘍栓を形成し、下大静脈内に突出していた。S8およびS4に肝内転移の小結節を認め、横隔膜は不整で浸潤が疑われ、右副腎にも1.7cm程度の結節を認めた。肝機能はChild A、Liver damage A、腫瘍マーカーはAFP 16.4 ng/ml、CEA 0.5ng/ml、CA19-9 76.6U/ml、PIVKA2 45 mAU/mlだった。下大静脈を肝上部、肝下部でテーピングし、前方アプローチで肝右葉切除を予定していたが、開腹創のみからの操作では肝上部下大静脈周囲の剥離操作が難しく、胸骨縦切開開胸を追加した。上大静脈、左大腿静脈、下腸間膜静脈で静脈-静脈バイパスを行った後、下大静脈を開窓し、腫瘍塞栓を摘出、横隔膜切離、右副腎合併切除し、腫瘍摘出した。残肝のS4肝内転移巣はMCT施行した。T4N0M1、Stage4Bで出血量4408ml(輸血MAP36単位、FFP27単位、血小板10単位)、手術時間17時間59分であった。術後経過は心房細動を術後2日目に認め、また乳び腹水を多量に認めたが重篤な合併症は認めなかった。術後病理では肝細胞癌と胆管細胞癌の混合型で中分化から低分化型組織像であった。【結語】下大静脈に進展した肝臓腫瘍においては胸骨縦切開付加経胸経腹アプローチ下にVVバイパスを行うことで肝腫瘍の切除および下大静脈の形成が安全に行い得る。このような巨大肝腫瘍に対しては、消化器外科と心臓血管外科との緊密な連携のもとで積極的な手術適応も考慮されるべきであると考えられる。 |
索引用語 | 下大静脈塞栓, 巨大肝癌 |