セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専10:

内視鏡下での腫瘍同定困難であった多発性印環細胞癌の1例

演者 石原 健二(中頭病院 消化器内科)
共同演者 笹野 なつき(中頭病院 消化器内科), 崎原 正基(中頭病院 消化器内科), 灰本 耕基(中頭病院 消化器内科), 伊禮 史朗(中頭病院 消化器内科), 中村 献(中頭病院 消化器内科), 石原 淳(中頭病院 消化器内科), 座覇 修(中頭病院 消化器内科), 石原 昌清(中頭病院 消化器内科), 末松 直美(社会医療法人敬愛会 中頭病院 病理部), 金城 福則(琉球大学医学部付属病院 光学診療部)
抄録 患者は39歳、女性。H21年6月、空腹時の心窩部痛を主訴に当院受診、精査目的に上部消化管内視鏡検査を施行した。前庭部に鳥肌胃炎の所見を認めたため、H.pylori感染を疑い前庭部と胃体部から検体を採取したところ、胃体部の生検でsignet-ring cell carcinomaを指摘された。H.pylori除菌後の同年8月、上部消化管内視鏡検査を再検したが内視鏡で明確な病変をとらえることができず、軽度の色調変化を頼りに前庭部大弯の1箇所、胃体中部大弯の1箇所を生検したところ、生検診断はいずれもSignet-ring cell carcinomaであった。同時性多発性早期胃癌の診断で同年10月、腹腔鏡補助下胃全摘術を施行した。切除胃の粘膜観察でも病変を同定できなかったため、切除胃を全割して検索したところ、carcinoma は、不連続、不規則に100箇所以上に及んだ。いずれの部位でも、粘膜の表面上皮に病変はみられず、粘膜固有層の表層から中層までに限局するsignet-ring cell carcinoma であった(pStage IA)。同時性多発性胃癌の報告は近年増加しているが、10病変以上の多発胃癌の報告は少ない。今回我々は、切除胃全割にて100箇所以上というきわめて多くの病変をともなった同時性多発性胃癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 同時性多発性胃癌, 印環細胞癌