共同演者 |
宮田 誠一(北九州市立医療センター 消化器内科), 畑 佳孝(北九州市立医療センター 消化器内科), 富田 洋介(北九州市立医療センター 消化器内科), 本田 邦臣(北九州市立医療センター 消化器内科), 伊原 栄吉(北九州市立医療センター 消化器内科), 井原 裕二(北九州市立医療センター 消化器内科), 豊島 里志(北九州市立医療センター 病理部), 三澤 正(北九州市立医療センター 消化器内科) |
抄録 |
AFP産生胃癌は高率に肝転移を来たし、一般的に予後不良とされている。今回我々は術後早期に肝転移を発症したAFP産生胃癌に対して化学療法(TS-1/CPT-11)が奏功した一例を経験したので報告する。症例は65歳男性。2009年10月下旬、胃のつかえ感を主訴に近医を受診し、食道癌と胃幽門前庭部に進行胃癌を診断され、精査加療目的で12月当科紹介となった。術前のCTでは気管前リンパ節と胃大彎に小リンパ節の腫大を指摘され、食道癌(Mt, type 0-IIc, T1b, N1, M0,stage II)に対して放射線化学療法、胃癌に対しては手術方針となった。治療は、腹腔鏡下幽門側胃切除術施行。病理診断は、ptype2, por1, pT4a, med, INFa, ly0, v2, pN1(2/41), pPM0, pDM0, pstage IIIAであった。血清AFPが高値であり、AFP免疫染色の結果AFP産生胃癌と診断された。術後,経過良好であったが、1ヶ月後の腹部MRIで肝内に最大径60×40mm大の腫瘤が13個以上存在し多発肝転移と診断された。胃癌の治療を優先する方針となり、2010年3月よりTS-1/CDDP併用化学療法を開始したがgrade 3の嘔吐のため初回投与で中止した。second lineとして、TS-1/CPT-11による化学療法を行ったところ化学療法開始から5ヶ月間でAFPは153000ng/mlから960ng/mlまで低下し、CTでも明らかに肝転移巣の縮小が見られた。今回、化学療法が奏効したAFP産生胃癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |