セッション情報 一般演題

タイトル 142:

慢性関節リウマチの経過中、肝障害にて診断したヘモクロマトーシスの症例

演者 野田 哲裕(清和会長田病院DELIMITER久留米大学病院消化器内科)
共同演者 森田 恭代(清和会長田病院), 立石 行生(清和会長田病院), 長田 修一郎(清和会長田病院DELIMITER久留米大学病院消化器内科), 是此田 博子(清和会長田病院), 増田 淳也(清和会長田病院), 古波倉 允(清和会長田病院), 長田 英輔(清和会長田病院), 鶴田 修(久留米大学病院消化器内科), 上野 隆登(久留米大学病院消化器内科DELIMITER久留米先端癌治療研究センター), 佐田 通夫(久留米大学病院消化器内科)
抄録 症例は78歳、女性。約25年前に関節リウマチの診断を受け、H9年より治療を開始し、アザルフィジンEN、リウマトレックスで加療中であった。る。H18年にも肝機能異常を指摘されたが、薬剤性肝障害を疑われ経過観察となっていた。しかしリウマチの症状は安定しているがH20年肝障害の増悪と貧血の進行(Hb 10.0g/dl)を認めたため 精査加療目的で当院紹介入院となった。血液生化学検査では、肝炎ウイルスマーカー陰性、AST 60U/L、ALT 51U/L、Plt 10.6万と肝硬変を疑われヒアルロン酸 628ng/mlと高値であった。腹部US・CTで肝硬変所見を認め、上部消化管内視鏡検査では胃静脈瘤を認めた。CTで肝臓のX線吸収値の著明な上昇 およびMRIでT1・T2強調画像およびSTIRで肝および膵臓は全体的に著明な低信号を認めた。また血清フェリチン著明高値・血清鉄高値・血清トランスフェリン飽和度上昇 を認めた。肝生検では門脈域周囲の線維化を認め、小葉全体の肝細胞内には著明な褐色顆粒の沈着を認めた。褐色顆粒は鉄染色陽性であった。飲酒歴・輸血歴・鉄剤治療歴はなく以上より原発性ヘモクロマトーシスと診断した。現在デフェラシロクス(キレート剤)を開始した。ヘモクロマトーシスは本邦では比較的まれな疾患であり、高齢女性で発症した興味深い一例として報告する。
索引用語 ヘモクロマトーシス, 肝障害