セッション情報 ワークショップ2「B型肝炎ウイルスの再活性化の現状と対策」

タイトル WS1-03:

当科におけるde novo B型肝炎の検討

演者 河野 良太(大分県立病院)
共同演者 吉村 映美(大分県立病院), 高木 崇(大分県立病院), 藤本 真澄(大分県立病院), 西村 大介(大分県立病院), 加藤 有史(大分県立病院)
抄録 【目的】近年、HBs抗原陰性でHBc抗体ないしHBs抗体陽性であるHBV感染既往例が、移植や癌化学療法における免疫抑制剤の使用によりHBVの再活性化をおこし肝炎が発症することが報告されている。このような病態をde novo B型肝炎と言い高率に劇症化すると言われている。今回当科で経験したde novo B型肝炎の臨床的検討を行った。【対象】当科でde novo B型肝炎と診断されたのは6例である。男2例、女4例で年齢は48~81才(平均65.5才)であった。これら症例の臨床的検討を行った。【結果】原疾患はR-THP-COPを受けた悪性リンパ腫2例、ATL1例、AML同種骨髄移植後1例、MDS同種骨髄移植後1例、SLE1例であった。原疾患に対する治療導入前は全例HBs抗原陰性であった。治療開始よりHBs抗原陽転化までの期間は4~31ヶ月(平均16.2ヶ月)であった。陽転化時HBe抗原陽性を4例でみとめた。肝機能はAST 21~628 IU/l、ALT 19~637 IU/l、TB 0.4~9.0 mg/dl、PT% 79~125 %であった。HBV-DNAは全例高値であった。HBV genotypeは4例で測定できておりBが2例、Cが2例であった。全例核酸アナログ製剤(lamivudine 1例、adefovir 1例、entecavir 4例)を使用しており原疾患で死亡した1例(ATL)を除きHBV-DNAは低下し良好な経過である。【結論】様々な疾患で免疫抑制剤使用後にHBs抗原陰性よりのHBV再活性化を認めた。治療開始より再活性化までの期間は幅広くHBV-DNAはいずれも高値であった。早期の核酸アナログ製剤使用により劇症化例はなく全例経過良好であった。
索引用語 de novo B型肝炎, HBV再活性化