セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専33:転移性肝癌との鑑別を要した細胆管細胞癌の一例 |
演者 | 大平 哲也(那覇市立病院内科) |
共同演者 | 宮里 賢(那覇市立病院内科), 金城 譲(那覇市立病院内科), 豊見山 良作(那覇市立病院内科), 仲地 紀哉(那覇市立病院内科), 島尻 博人(那覇市立病院内科), 平良 剛(那覇市立病院内科), 新垣 有正(那覇市立病院病理部) |
抄録 | 【症例】71歳、男性 2型糖尿病とアルコール性肝硬変で当院内科外来に通院中に貧血の進行を認め、2008年8月に大腸内視鏡を施行。横行結腸に15mm大のΙsp型の隆起性病変を認めEMRを施行したところ、粘膜下層に軽度浸潤した中分化腺癌の所見であった。翌2009年2月に腹部超音波検査で肝S7に25mm大の境界明瞭な低エコー性結節を認めた。腹部造影CT検査では肝腫瘤は辺縁が濃染し平衡相まで持続していた。腹部造影MRI検査でも同様の所見を認めた。各種腫瘍マーカーは陰性であり、EMRされた大腸癌の深達度からは否定的であったが画像上は転移性肝癌が疑われた。腫瘍生検で異型に乏しい小型、類円形の腫瘍細胞が増生細胆管に類似する小管腔構造を示し、それらが互いに不規則に吻合するように増殖していた。免疫染色でサイトケラチン7と19が陽性であり細胆管細胞癌の診断となった。治療については肝予備能が低く、外科的切除を諦めラジオ波焼灼療法を選択した。 【考察】本症例は、早期大腸癌の既往のある肝硬変患者に生じた肝腫瘍であり画像的にも転移性肝癌との鑑別に苦慮した。最終的には生検による病理診断が決め手となった。原発性肝癌の9割は肝細胞癌で、細胆管細胞癌は原発性肝癌の0.5~4%とされている。hepatic stem cell由来の癌であることが示唆されており臨床的には慢性肝疾患の合併率が通常の胆管癌より高いとされる。慢性肝疾患ではhepatic stem cellが肝臓の組織再生を担っており、この増殖機転が腫瘍発生に寄与している可能性が指摘されている。従って慢性肝疾患患者に肝腫瘍を認めた際には、細胆管細胞癌も鑑別の一つとして考慮する必要があると考えられた。 |
索引用語 | 肝臓, 腫瘍 |