セッション情報 ワークショップ3「消化器疾患に対する低侵襲手術(ビデオ)」

タイトル WS3-01:

当科における腹腔鏡下肝切除術の工夫と成績

演者 本村 貴志 (九州大学大学院 消化器・総合外科)
共同演者 調 憲(九州大学大学院 消化器・総合外科), 武冨 紹信(九州大学大学院 消化器・総合外科), 武藤  純(九州大学大学院 消化器・総合外科), 間野 洋平(九州大学大学院 消化器・総合外科), 武石 一樹(九州大学大学院 消化器・総合外科), 戸島 剛男(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉松 正憲(九州大学大学院 消化器・総合外科), 伊地知 秀樹(九州大学大学院 消化器・総合外科), 原田 昇(九州大学大学院 消化器・総合外科), 内山 秀昭(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉住 朋晴(九州大学大学院 消化器・総合外科), 池田 哲夫(九州大学大学院 消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器・総合外科)
抄録 【はじめに】近年低侵襲かつ安全な腹腔鏡手術の発達が著しい。しかし肝切除においてはガス塞栓の問題や出血コントロールなど課題も多く、特に悪性腫瘍に対する腹腔鏡下肝切除術の長期成績の報告は未だ少ない。【対象・方法】当科における腹腔鏡補助下肝切除46例と完全腹腔鏡下肝切除3例(1994年9月-2010年8月)について、ビデオを供覧し当科での工夫を示す。また同時期同背景の腹腔鏡下肝切除37例(外側区域切除16例、部分切除27例)と初回開腹下肝切除151例(外側区域切除18例、部分切除133例)の短期成績を比較検討した。さらに肝細胞癌に対して施行された各々26例と117例の長期成績を比較検討した。【結果】(1)当科の腹腔鏡補助下肝切除の工夫:(i)気腹下に胆道鏡を用いて肝十二指腸間膜をテーピング(Pringle法)、(ii)real-timeエコー(腫瘍局在・肝内転移の有無)、(iii)ラップディスクを用いた用手補助操作、(iv)小開腹下に CUSA/TissueLinkを使用して実質切離(ガス塞栓・出血予防)、当科の完全腹腔鏡下肝切除の工夫:(i)腫瘍が一番上になるように患者の体位を設定、(ii)気腹圧が中心静脈圧以下になるように設定(ガス塞栓予防)、(iii)TissueLinkをCUSAより頻用(出血予防)(2)比較検討:腹腔鏡群と開腹群で患者背景や腫瘍因子に差はなかった。両群間で手術時間に差はなかったが、術後合併症発生率は有意に腹腔鏡群で低く(p<0.05)、出血量も351ml、637ml (p<0.001)、術後在院日数も12日,19日と有意に腹腔鏡群で短かった(p<0.0001)。長期成績に関しては、全生存率(5年、10年:69.6% vs 65.6%、62.7% vs 40.7%)、無再発生存率(5年、10年:32.7% vs 40.5%、26.1% vs 26.0%)と両群間に差はなかった(p=0.376, 0.291, Logrank test)。【まとめ】腹腔鏡下肝切除術は根治性を損なわず、かつ低侵襲で安全な術式である。
索引用語 腹腔鏡下肝切除, 長期予後