セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専25:肝移植におけるドナーIL28B遺伝子多型の意義 ― 異なる遺伝子多型をもつDual Graftを用いた生体肝移植の一例 ― |
演者 | 本村 貴志 (九州大学大学院 消化器・総合外科) |
共同演者 | 武冨 紹信(九州大学大学院 消化器・総合外科), 福原 崇介(九州大学大学院 消化器・総合外科), 間野 洋平(九州大学大学院 消化器・総合外科), 武藤 純(九州大学大学院 消化器・総合外科), 武石 一樹(九州大学大学院 消化器・総合外科), 戸島 剛男(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉松 正憲(九州大学大学院 消化器・総合外科), 伊地知 秀樹(九州大学大学院 消化器・総合外科), 原田 昇(九州大学大学院 消化器・総合外科), 内山 秀昭(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉住 朋晴(九州大学大学院 消化器・総合外科), 調 憲(九州大学大学院 消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器・総合外科) |
抄録 | 【はじめに】肝移植後もC型肝炎再発はほぼ必発であるが、移植後PEG-IFN+RBV療法のSVR率は約30%と低く、治療効果予測因子の解明が急務である。当科から、レシピエント、ドナー両者のIL28B遺伝子多型が移植後再発C型肝炎に対するIFN感受性と相関することを報告して来た。しかし生体肝移植においては遺伝子多型の一致が多く、グラフト遺伝子多型の意義は明らかでない。【症例】51歳男性。C型肝硬変、肝細胞癌に対しdual graftを用いた生体肝移植を施行した。本人と右葉グラフトドナー(42歳女性、妻)のrs8099917はT/G、左葉グラフトドナー(21歳男性、息子)はT/Tであった。術後経過に問題なく、移植後4週間でペグイントロン180μg/週、レベトール600mg/日で投与開始した。2年間治療継続し一過性ウイルス学的消失を達成したが、終了後直ちに再燃した。ウイルス量は高値であったが、肝機能の増悪なく2年間経過観察され、今回プロトコール肝生検を施行した。左葉グラフトはA1F0で、肝生検組織より抽出したRNAを用いたqRT-PCRにてHCV RNAは検出感度以下であった。一方右葉グラフトはA2F2で、15.3copies/μgのHCV RNAが検出された。【考察】IL28B遺伝子多型とIFN感受性の分子機序は未だ解明されていない。肝組織ISGの発現との関連が報告されているが、肝細胞、免疫担当細胞、いずれが鍵を担っているのか一切不明である。今回同一個体の中で二つの異なる遺伝子多型を持った肝グラフトが、組織学的にもウイルス動態的にも異なった所見を呈したことは、肝細胞におけるIFN応答の重要性を示している。【まとめ】本症例はC型肝硬変に対する肝移植において、グラフト肝のIL28B遺伝子多型が重要な意義を持つことを示し、またIL28B遺伝子多型がIFN応答に関わる分子機序の首座が、肝細胞にあることを示唆している。 |
索引用語 | IL28B遺伝子多型, dual graft |