セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 144:肝腫瘤で発見された消化管外アニサキス症の1例 |
演者 | 森田 道(長崎大学大学院 移植・消化器外科) |
共同演者 | 高槻 光寿(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 日高 匡章(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 曽山 明彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 黒木 保(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 足立 智彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 江口 晋(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 兼松 隆之(長崎大学大学院 移植・消化器外科) |
抄録 | 【症例】59歳女性【主訴】なし【現病歴】生来健康。検診の腹部超音波検査にて肝外側区域に腫瘤を指摘され、精査目的に当科紹介となった。腹部造影CTにて肝外側区域から肝外に突出するような造影効果の乏しい境界不明瞭な腫瘤を認めた。鑑別診断として悪性リンパ腫、炎症性腫瘤などが挙げられ、腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した。【手術所見】腫瘤は肝外、肝胃間膜内に発生し、肝外側区域背側に接するように存在していた。腫瘤と癒着していた肝外側区域を一部合併切除する形で腫瘤を摘出した。術中迅速組織診では炎症性腫瘤の診断で悪性所見を認めず、手術を終了した。【病理所見】肉眼像では、腫瘤は境界明瞭であり、中心に壊死組織を認めた。組織像では、腫瘤の中心部は変性壊死であり、周囲に炎症性細胞浸潤および線維化を伴っていた。中央部の壊死の中にアニサキスの虫体と思われる構造物を認めた。術後、血清特異抗アニサキス抗体価を測定したところ上昇しており、消化管外アニサキス症の診断となった。【考察】アニサキス症は消化管に多く発生し、激烈な腹痛を特徴とする。しかし、本症例のように無症状で経過し、消化管壁を穿通し消化管外アニサキス症として発見される例も報告されている。消化管外アニサキス症発見の契機としては、絞扼性イレウス、膵腫瘤などが報告されているが、腹腔内腫瘤として発見された例は稀である。画像所見による悪性腫瘍との鑑別が困難であり確定診断は病理標本での虫体の検出や血清アニサキス抗体価の上昇による。本症例のように非典型的な腹腔内腫瘤を認めた場合にはアニサキス症を含めた寄生虫幼虫移行症も鑑別に加えるべきである。 |
索引用語 | 消化管外アニサキス症, 肝腫瘤 |