セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研42:術前診断が困難であった小腸濾胞性リンパ腫の一例 |
演者 | 荒木 美穂(九州大学大学院病態機能内科学) |
共同演者 | 北崎 真未(九州大学大学院病態機能内科学), 梁井 俊一(九州大学大学院病態機能内科学), 森山 智彦(九州大学大学院病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学大学院病態機能内科学), 植木 隆(九州大学大学院臨床・腫瘍外科), 藤田 恒平(九州大学大学院形態機能病理学), 平橋 美奈子(九州大学大学院形態機能病理学), 西村 純一(国立病院機構関門医療センター・消化器科), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科学) |
抄録 | 症例は68歳女性。2010年6月の夕食後から腹痛、嘔吐が出現した。近医を受診したところ腸閉塞を疑われ、絶食・補液による保存的加療で軽快したが、腹部CTで骨盤内回腸に腫瘤性病変を指摘されたため、精査加療目的に当科紹介入院となった。当科で施行した上部消化管内視鏡検査では異常所見を認めなかった。経口小腸造影では、骨盤内回腸に約6cmにわたる伸展不良と管腔狭小化を認め、Kerckring皺襞は保たれていた。経口および経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡検査を行うも病変部位まで到達できず、観察範囲内の空腸および遠位回腸には異常を認めなかった。造影CTおよびFDG-PET検査では、回腸の病変部位に一致して淡く均一に増強される長径6cm大の腫瘤を認め、悪性リンパ腫や管外発育性GISTを疑った。診断確定目的で、2010年8月2日に腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した。切除標本では、狭窄部に一致して回腸漿膜側に最大径6cm大の腫瘤を認め、内腔側はほぼ健常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍様であった。組織学的には、粘膜から漿膜下組織にかけて中型~大型の異型リンパ球のびまん性浸潤を認め,一部に濾胞様構造を呈していた。免疫組織化学染色では、異型リンパ球はCD10+, CD20+, CD79a+, Bcl2+, CD3-, CD5-, cyclinD1- であった。以上より濾胞性リンパ腫,grade 3Aと診断した。臨床病期II2期と診断し、リツキシマブ単剤治療を開始した。 管外発育性の腫瘤を形成する濾胞性リンパ腫は稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 小腸, リンパ腫 |