セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
---|---|
タイトル | 研39:巨大な後腹膜血管筋脂肪腫の1例 |
演者 | 田崎 雄一(長崎市立市民病院外科) |
共同演者 | 小原 則博(長崎市立市民病院外科), 北里 周(長崎市立市民病院外科), 渡邊 健人(長崎市立市民病院外科), 三島 壯太(長崎市立市民病院外科), 大野 毅(長崎市立市民病院外科), 井上 啓爾(長崎市立市民病院外科), 田島 義証(長崎市立市民病院外科), 前田 潤平(長崎市立市民病院外科), 重野 賢也(長崎市立市民病院内科), 入江 準二(長崎市立市民病院病理科) |
抄録 | 【はじめに】今回、腎周囲後腹膜を主体とする巨大血管筋脂肪腫の1切除例を経験した。【症例】71歳、女性。両下肢のむくみを訴え、当院内科受診。左腹部を中心に巨大な腫瘤を触知し、腹部CT検査で腹腔内に径30cm大の巨大な腫瘍を認めたため、精査加療目的に内科入院となった。腹部造影CT検査では、左腹部の大半を占め、正中を超え右側、尾側は骨盤腔までおよぶ30×30×15cm大の巨大な腫瘤を認めた。腫瘤の大部分は濃淡不均一な脂肪成分で、索状・線状の軟部濃度が全体的に網状に分布していた。腹部MRI検査では、腫瘤はT1、T2で高信号を示し脂肪抑制画像で抑制され脂肪成分が主体と考えられた。内部には充実部分と思われる索状構造物が樹枝状に分布していた。3D-CT Angioでは、左腎動脈下極枝から出て上行する2本の動脈が腫瘍内に流入し、それとは別に腹部大動脈腹側から直接分岐する2つの動脈が腫瘍辺縁を取り囲むように分布し、いずれも腫瘍の栄養血管と思われた。また腫瘍灌流静脈は、腫瘍中心部から左腎静脈に合流するものと、腫瘍外側を灌流し左腎静脈に流入する静脈の2本を認めた。以上より、後腹膜脂肪肉腫または腎外発育型血管筋脂肪腫を考え腫瘍摘出術・左腎合併切除術を施行した。術前に左腎動脈内にバルーンカテーテルを留置し、術中に左腎動脈をクランプすることで腫瘍の血流をコントロールしながら手術を行った。摘出した腫瘍は32×36×15cmで、重量6285gであった。病理組織学的所見では、腫瘍は脂肪組織、紡錘細胞、血管から構成され、HMB45免疫染色で陽性であり、血管筋脂肪腫と診断された。腫瘍は左腎被膜に接するものの腎実質には腫瘍はみられず、後腹膜由来と考えられた。【考察】血管筋脂肪腫は血管、平滑筋、脂肪の成分からなる間質系良性腫瘍で、腎に好発し、大部分は腎内発育型の形態をとる。腎外、特に後腹膜血管筋脂肪腫はまれであるが、このような場合、脂肪肉腫など他の後腹膜腫瘍との鑑別が困難なことも多く、本疾患を念頭に置いて診断する必要がある。 |
索引用語 | 血管筋脂肪腫, 後腹膜 |