セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年) |
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タイトル | 専38:転移性脳腫瘍を契機に診断された空腸悪性GISTの1例 |
演者 | 齊藤 宏和(熊本大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 | 加来 英典(熊本大学大学院 消化器内科学), 井戸 佑美(熊本大学大学院 消化器内科学), 小畑 雅寛(熊本大学大学院 消化器内科学), 松野 健司(熊本大学大学院 消化器内科学), 具嶋 亮介(熊本大学大学院 消化器内科学), 牧 曜子(熊本大学大学院 消化器内科学), 野中 康一(熊本大学大学院 消化器内科学), 尾崎 徹(熊本大学大学院 消化器内科学), 直江 秀昭(熊本大学大学院 消化器内科学), 村尾 哲哉(熊本大学大学院 消化器内科学), 横峰 和典(熊本大学大学院 消化器内科学), 田中 秀紀(熊本大学大学院 消化器内科学), 桜井 宏一(熊本大学大学院 消化器内科学), 岩上 志朗(同 消化器外科学), 馬場 秀夫(同 消化器外科学), 佐々木 裕(熊本大学大学院 消化器内科学) |
抄録 | 症例は77歳女性。生来健康であったが、左上肢の脱力と左口唇のしびれを自覚し、近医で頭部CTおよびMRIを施行された。右大脳脚および左後頭葉に腫瘍性病変を認めた。当院脳神経外科に入院となり、開頭腫瘍摘出術を施行された。摘出標本の病理学的検討では、HE染色で紡錘形細胞の増殖と免疫染色でc-kit陽性の所見を認め、消化管GIST(Gastrointestinal stromal tumor)の転移と診断した。GF,CFでは特に異常は認めず、PET-CTにて小腸に集積を認めたため、小腸原発GISTが疑われ当科転科となった。また、同検査にて右副腎転移、骨転移も認めた。カプセル内視鏡およびダブルバルーン小腸内視鏡で、上部空腸に30mm大の潰瘍を伴った隆起性病変を認めた。生検の結果、HE染色、免疫染色ともに脳腫瘍と同様で、MIB-1 indexは50%であった。空腸原発の悪性GISTと診断し、Imatinib400mg/日の投与、および転移性脳腫瘍に対しては全脳照射(3Gy×10 total30Gy)を開始した。しかしImatinib投与開始から第21病日にイレウス症状を認め、絶食、胃管、IVH管理となった。さらに第28病日にはGrade4の好中球減少を認め、Imatinibは中止した。イレウスに関しては保存的加療を行っていたが症状の改善なく、空腸腫瘍の増大が疑われたため、第40病日に当院消化器外科にて空腸部分切除を施行された。手術標本では原発巣は著明に縮小しており、イレウスの原因は腹膜播種による癒着であった。原発巣に対してはImatinibは奏効していたと考え、中止していたImatinibを第60病日より再開した。しかし脳病変は徐々に増大し、神経症状、意識状態の悪化を認めたため、best supportive careとし診断時から約6カ月後に永眠された。今回我々は、脳転移を来たした空腸悪性GISTの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | GIST, 脳転移 |