セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 104:腎明細胞癌再発により大腸浸潤を呈した多発性神経鞘腫症の1例 |
演者 | 姫野 祐一郎(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科) |
共同演者 | 檜沢 一興(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科), 王寺 裕(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科), 工藤 哲司(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科), 濱津 隆之(公立学校共済組合九州中央病院外科), 中守 真理(公立学校共済組合九州中央病院病理), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科学), 飯田 三雄(公立学校共済組合九州中央病院消化器内科) |
抄録 | 多発性神経鞘腫症は全身に神経鞘腫が発生する稀な疾患である。神経線維腫症との異同を含め未だ独立した疾患概念は確立していない。我々は腎細胞癌の術後に下行結腸腫瘤による閉塞症状で手術を行った多発性神経鞘腫症の1例を経験した。自験例の特異な画像所見とともに、本症の臨床像に関して文献的考察を加え報告する。症例は80歳、男性。57歳時に馬尾神経鞘腫で手術、72歳時に腎明細胞癌で左腎摘出術、さらに前立腺癌で術後に放射線治療、77歳時には傍頚髄腫瘍で手術を受けた。高血圧で近医通院中に便秘となり、早朝に腹痛下血が出現し当院救急搬送された。血色素6.9g/dLと貧血を認め、CRPは8.5mg/dLと上昇していた。腹部造影CTにて下行結腸近位部に壁外浸潤する腫瘤を認め大腸癌の腹膜播種が疑われた。CEAは2.4ng/mLだがCA19-9は2067U/mLと高値だった。さらに仙骨内には7cm、L1/2の左椎間孔に3cm、左臀部に2cmの比較的境界明瞭な腫瘤を認め、病歴から多発神経鞘腫と診断した。絶食補液で治療を行い第3病日に大腸内視鏡を行った。下行結腸に不整潰瘍を伴う結節状の隆起を認めたが、生検では特異的所見は認めなかった。口側には閉塞性腸炎と思われる縦走潰瘍を認めた。ガストログラフィンによる注腸X線検査にて病変は8cmに及ぶ多結節状の平滑な隆起として描出された。大腸癌より神経鞘腫を疑い第18病日に手術を行った。開腹所見にて病変は後腹膜腫瘍による下行結腸の浸潤腫瘤であり、完全切除は困難と判断した。病変を横断切離して左半結腸切除術を行なった。組織学的には血管豊富な間質を伴い胞巣状に増殖した淡明な腫瘍細胞を認め、腎明細胞癌の再発と診断した。 |
索引用語 | 多発性神経鞘腫症, 腎明細胞癌 |