セッション情報 一般演題

タイトル 1:

原発性十二指腸腫瘍症例の検討

演者 長嵜 寿矢(健康保険諫早総合病院 外科)
共同演者 小松 英明(健康保険諫早総合病院 外科), 劉 中誠(健康保険諫早総合病院 外科), 柴田 良仁(健康保険諫早総合病院 外科), 村岡 昌司(健康保険諫早総合病院 外科), 山口 広之(健康保険諫早総合病院 外科), 君野 孝二(健康保険諫早総合病院 外科), 野元 健行(健康保険諫早総合病院 消化器内科), 中島  正洋(健康保険諫早総合病院 病理)
抄録 緒言:十二指腸に発生する腫瘍性病変は,全消化管腫瘍の1%以下と比較的稀である.今回われわれは、当院における乳頭部腫瘍を除く原発性十二指腸腫瘍について検討を行った.対象:2007年4月から2010年8月までの3年4カ月間に,当院で治療を行われた原発性十二指腸腫瘍は5例であり,これは同時期に外科的治療を受けた消化管腫瘍症例の約1%であった.結果:症例は男性2例,女性3例で平均年齢71.0歳(60-88歳)であった.初発症状は,上腹部痛が2例,採血での貧血指摘が2例,健診での内視鏡異常が1例であった.閉塞性黄疸は1例に認められた.腫瘍の占拠部位は,十二指腸第I部が1例,第II部乳頭上部が2例,第III部が1例,第IV部が1例だった.いずれも上部消化管内視鏡にて病変を確認された.治療法は,膵頭十二指腸切除(以下PD)1例,十二指腸局所切除が1例,内視鏡下粘膜下層切除が1例,姑息的バイパス手術が1例,手術不能で無治療となった症例が1例であった.腫瘍の肉眼形態は,0-I型が1例,2型が2例,3型と4型がそれぞれ1例ずつであった.組織型は,腺癌3例(中分化腺癌2例,1例は分化度不明),定形型カルチノイドが1例であったが,1例は病理診断が未確定であった.切除された3例について,腫瘍の壁深達度はそれぞれsm,mp,ssが1例ずつであった.リンパ節転移はPDを施行された症例で1/25個だけ認められた.定形型カルチノイドでは脈管侵襲を認めなかったが,切除された中分化腺癌症例は2例とも脈管侵襲が(ly,vともに)認められた.予後については,切除可能であった3例は,観察期間は短いものの,いずれも無再発生存中である(切除後2カ月~1年9カ月).切除不能であった症例については,1例が当院紹介1カ月後に誤嚥性肺炎で死亡し,バイパス手術を行った症例は,術後にS-1+CDDP療法を6クール施行されたが,1年1カ月後に死亡した.結語:原発性十二指腸腫瘍に対する治療法は確立したものがなく,現場の医師が症例ごとに検討しているのが現状である.特に手術術式や補助化学療法の選択に難渋することが多く,症例の蓄積が重要である.
索引用語 十二指腸腫瘍, 十二指腸癌