セッション情報 一般演題

タイトル 97:

術前に診断し腹腔鏡下に待機的に切除し得た巨大結腸脂肪腫の一例

演者 佐野 由紀子(豊見城中央病院 外科)
共同演者 大宜味 由奈(豊見城中央病院 外科), 島袋 伸洋(豊見城中央病院 外科), 安里 昌哉(豊見城中央病院 外科), 吉田 一彦(豊見城中央病院 外科), 土井 篤(豊見城中央病院 外科), 大田 守仁(豊見城中央病院 外科), 仲地 厚(豊見城中央病院 外科), 島袋 誠守(豊見城中央病院 外科), 照屋 剛(豊見城中央病院 外科), 真喜志 知子(豊見城中央病院 内科), 新垣 京子(豊見城中央病院 病理), 城間 寛(豊見城中央病院 外科)
抄録 症例)64歳男性 既往)高血圧・糖尿病 臨床経過)2003年の人間ドックにて横行結腸に3mm程度の脂肪腫を疑う粘膜下腫瘍を指摘され、翌年2cmと増大傾向をみとめたが経過観察するよう指示されていた。毎年下部消化管内視鏡検査を施行しており2007年には3cmとなっていたが、2010年には内腔を占拠するまでに増大していたため精査目的に同年4月、当院消化器内科に紹介となった。当院での下部消化管内視鏡検査の結果、横行結腸の肝弯部に大きさ5cm以上の、内腔をほぼ閉塞する粘膜下腫瘍をみとめた。EUSでは腫瘍が大きいため全貌を把握することが困難であり、粘膜生検の結果では上皮細胞のみであった。注腸造影検査では同部位に有茎性で直径約6cmの可動性が非常に良好な隆起性病変をみとめ、造影CTでは腸管内腔に突出し内部がlow densityな腫瘍性病変をみとめた。上記結果より横行結腸脂肪腫が最も疑われ、閉塞・腸重積の可能性があるため外科的切除目的に当科紹介となった。当科初診時の空腹時血糖値357mg/dl、HbA1c=7.7%と血糖コントロール不良であったため術前に血糖コントロールを行ない、2010年7月腹腔鏡補助下結腸部分切除術を施行した。術後合併症なく経過し10日目に軽快退院となった。切除標本の病理組織検査では6×4cmのLipomaとの診断であった。結語)結腸脂肪腫は比較的稀な疾患であり、特に6cmを超える例では80%以上に腸重積や腸閉塞を併発し、緊急手術が施行されるとの報告がある。また術前悪性腫瘍を疑われ、リンパ節郭清が施行される例もある。本症例は脂肪腫との術前診断にて経過観察中に急速な増大傾向を示したが、腸重積等の合併症発現前に手術を行うことができた。また待機的に手術を予定できたので術前に合併症のコントロールを行うことも可能であった。発見時小さな脂肪腫でも慎重なフォローアップが必要と思われたため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 結腸良性腫瘍, 低侵襲手術