セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研92:特異な超音波所見を呈したガス産生菌による肝膿瘍の一例 |
演者 | 井上 佳奈子(佐賀大学医学部内科) |
共同演者 | 岩根 紳治(佐賀大学医学部内科), 磯田 広史(佐賀大学医学部内科), 桑代 拓也(佐賀大学医学部内科), 大枝 敏(佐賀大学医学部内科), 河口 康典(佐賀大学医学部内科), 江口 有一朗(佐賀大学附属病院総合診療部), 尾崎 岩太(佐賀大学保健管理センター), 水田 敏彦(佐賀大学医学部内科) |
抄録 | 【はじめに】特異なエコー所見を呈し、経時的に観察しえた肝膿瘍の症例を経験したので報告する。【症例】2年前より高血糖を指摘されていたが放置。2010年6月23日より食欲低下、39度台の発熱が出現。近医での腹部CTで肝S6/7に径3cmほどの低吸収域を呈する腫瘤性病変を認め、当院紹介受診となる。当院初診時の超音波検査にて後区域に区域性に広がる高エコー領域が認められ、CTにて描出されていた腫瘤性病変より明らかに広範囲であった。海外渡航歴なく、発熱以外に身体所見に異常なし。血液検査所見はWBC 14600/μl、(Neutro 12860/μl)、PLT 9.3万/μl、PT 78.1%、随時血糖 252 mg/dl、HbA1c 10.9 %、T-Bil 1.3 mg/dl、AST 265 IU/l、ALT 223 IU/l、ALP 263 IU/l、γ-GTP 25 IU/l、CRP 9.81mg/dlであった。穿刺液の培養では、klebsiella pneumoniaeを検出した。コントロール不良の糖尿病の存在と臨床所見から肝膿瘍と診断し、抗生剤(セフメタゾン)の投与を開始した。炎症所見は改善傾向を示し、それに伴い超音波上の高エコー領域は縮小し、6日間で消失した。最終的に肝膿瘍の部分はhypoもしくはmosaic patternの腫瘤として描出された。【考察】これまでにガス産生によりniveau像を呈する肝膿瘍症例や腹部超音波検査でマイクロバブルを捉えた症例の報告はあるが、それらと比較し本症例の特異的な超音波所見は、ガスが膿瘍内部にとどまらず経門脈的に広がったために、マイクロバブルによる高エコー像が区域性に広がり、CT所見と解離を見せたことである。また本症例のように治療に伴い経時的にマイクロバブルが消失する経過を追った報告はまだない。【結語】肝膿瘍症例において超音波検査でマイクロバブルを検知した場合はガス産生菌によるものを念頭におき、治療、経過観察を行うべきである。 |
索引用語 | 肝膿瘍, ガス産生菌 |