セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研33:

十二指腸病変に対してメサラジン粉砕投与が有効と思われたクローン病の1例

演者 中村 剛(長崎市立市民病院 消化器内科)
共同演者 池田 幸紀(長崎市立市民病院 消化器内科), 福島 真典(長崎市立市民病院 消化器内科), 山島 美緒(長崎市立市民病院 消化器内科), 重野 賢也(長崎市立市民病院 消化器内科), 堤 卓也(長崎市立市民病院 消化器内科), 山川 正規(長崎市立市民病院 消化器内科)
抄録 【症例】20歳、男性。H21年8月より食後の吐き気と5kgの体重減少を主訴に同年10月当院を受診。採血ではT.P. 5.5の低タンパク血症、およびCRP 0.41と軽度の炎症所見を認めた。上部消化管内視鏡検査では胃前庭部と十二指腸球部から下行脚にかけて多数のびらんと発赤があり、生検より非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫が認められ、クローン病の診断となった。大腸にもアフタが散在性に確認されたが、便通異常はなく、また小腸透視では病変は指摘出来なかった。なお、H. pyloriは陰性で、プロトンポンプインヒビターは無効であった。栄養療法とメサラジン内服で治療を開始したところ、一時良好な反応が得られていたが、H22年2月上旬より心窩部痛出現し、上部消化管内視鏡検査で十二指腸病変の増悪が見られた。絶食で自覚症状が軽快した後、レミケード導入を行った。ところが退院後も上腹部を中心とした症状が続き、内視鏡像もさらに増悪傾向にあった。レミケード抵抗性と判断し、新たに治療としてメサラジン粉砕内服を開始したところ、徐々に症状が消失し、内視鏡像も改善が見られた。【考察】十二指腸を主体としたクローン病の報告は本邦では比較的稀であり、その治療方針も確立していない。またレミケードの効果については一定の見解は得られていない。本症例は十二指腸病変に対してメサラジン粉砕投与が有効であったと思われ、文献的考察も併せて報告する。
索引用語 クローン病, 十二指腸病変