セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研83:特発性血小板減少性紫斑病を合併した自己免疫性肝炎の1例 |
演者 | 黒木 世里夏(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝臓科) |
共同演者 | 上野 新子(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝臓科), 具嶋 敏文(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝臓科), 高橋 和弘(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝臓科) |
抄録 | 【症 例】 50 歳代 女性 【主 訴】 肝機能異常 【既往歴】 胆嚢摘出術。肝機能異常や血液疾患の既往なし。 【現病歴】 2010年6月右季肋部違和感出現し近医受診、高度の肝機能異常を指摘され紹介来院となった。 【入院時現症】 150cm、48kg。眼球結膜に黄疸軽度。右季肋部に圧痛軽度。肝脾触知せず。 【検査成績】 血液生化学検査では、WBC 7900/μl、RBC 467×104/μl、Hb 13.7g/dl、Ht 40.9%と正常であったが、血小板が2.1×104/μlと低下していた。T.Bil 3.4mg/dl、 AST 1651 IU/l、ALT 2515 IU/l、ALP 794 IU/l、λGTP 380 IU/lと高度の肝胆道系酵素上昇を認めた。IgM HA抗体、HBs抗原、IgMHBc抗体は陰性、HCV抗体、HCV RNAはともに陰性、HEV RNAも陰性であった。IgG 2481 mg/dlと上昇しており、抗核抗体320倍、抗平滑筋抗体40倍であった。HLADRは4,14であった。血液凝固系に異常は認めなず、PaIgGは611 ng/107cellsと上昇していた。骨髄はNCC 5.1×104/μl、MgK 25/μlとやや低形成であった。 【臨床経過】 肝機能異常および血小板の減少は遷延し、黄疸の増悪を認めた。骨髄所見が特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に矛盾しないこと、自己免疫性肝炎(AIH) 簡易版スコアリングシステムで疑診以上となることよりAIHとITPの合併と考え、プレドニゾロン40mgの投与を開始した。肝機能は改善傾向を示し、治療開始7日目に血小板6.7×104/μlまで増加したため肝生検を施行した。門脈域にリンパ球浸潤を認め、肝細胞は軽度腫大し、apoptosisを認め、小葉内にもリンパ球の浸潤を認めた。線維化はほとんど認めなかった。治療開始10日目には血小板25.8×104/μlまで増加、 4週目にはAST、 ALT ともに正常化した。2010年9月現在プレドニゾロン10mgまで減量したが、肝機能、血小板数ともに正常値を保っている。 【考 察】 AIHは種々の自己免疫性疾患を合併することが知られているが、ITPを合併した報告は比較的少ない。本症例は、AIHとITPの発症時期、活動性が平行しており、共通の発症機序が示唆された。 |
索引用語 | 自己免疫性肝炎, 特発性血小板減少性紫斑病 |