セッション情報 一般演題

タイトル 140:

特異な経過を示した薬剤性肝障害の1例

演者 野間 栄次郎(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器科), 光安 智子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 川本 研一郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 馬場 祟徳(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科)
抄録 [症例]42歳男性 [主訴]熱発 右季肋部痛 [現病歴]2009年11月9日鼻炎に対して近医耳鼻科より抗ヒスタミン剤、漢方、点鼻薬、点眼薬処方された。11月11日倦怠感、熱感あり、別の近医で塩酸セフカペンピボキシル、ロキソブロフェンナトリウム、塩化リゾチーム等処方された。11月12日より心窩部痛出現したため市販薬や健康食品、確認できるだけでも9種類服用した.特にノニ(ヤエヤマアオキ)濃縮カプセルは常用量の4倍量を3日間服用した.11月14日38.2℃の発熱認め肝障害も指摘されたため当科紹介受診となった. [検査成績]WBC13400 (好中球80% 好酸球2%) 血小板11.2万 PT78% Alb3.1 T.bil4.9 D.bil3.8 AST48 ALT240 ALP635 γGT230 CRP7.6、免疫グロブリン、自己抗体やウイルスマーカーに有意な異常は認めなかった. [入院後の経過]多量の薬剤服用歴から一番に薬剤性肝障害を考えたが、右季肋部痛や発熱、比較的強い炎症反応から、胆道系疾患も鑑別にあがった.薬剤中止しても炎症の下がりが悪く季肋部痛持続したのでERCP施行した.胆管に明かな結石等認めなかったが、十二指腸乳頭部に小さい潰瘍を認め排石した可能性も否定できなかった.その後肝胆道系酵素は自然に低下傾向にあったが.ERCP3日後より好酸球の著明な上昇を認め、15病日にピークとなり87%まで上昇した.11月25日 11病日に施行した肝生検では、肝実質の細胞の脱落と著明な好酸球の浸潤を認めた. DLSTでは、ノニ濃縮カプセルが309倍、ロキソブロフェンナトリウムが182倍で陽性であった.その後、好酸球も肝胆道系酵素も無治療の自然経過で改善し、およそ1ヶ月で退院となった.原因薬剤として疑問はあるがノニによる肝障害は海外では散見するが本邦ではまれである。また当初、胆道系疾患との鑑別が必要あり、投薬中止後から著明な好酸球増多を認めるという特異な経過を示した1例であり報告する。
索引用語 薬剤性肝障害, 好酸球増多症