セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研66:

胆管内乳頭状腫瘍の1例

演者 中山 和典(国家公務員共済組合連合会浜の町病院 肝臓科)
共同演者 西田 紗季(国家公務員共済組合連合会浜の町病院 肝臓科), 上野 新子(国家公務員共済組合連合会浜の町病院 肝臓科), 具嶋 敏文(国家公務員共済組合連合会浜の町病院 肝臓科), 高橋 和弘(国家公務員共済組合連合会浜の町病院 肝臓科), 松浦 隆志(国家公務員共済組合連合会浜の町病院 放射線科), 一宮 仁(国家公務員共済組合連合会浜の町病院 外科)
抄録 【症 例】 60 歳代 男性
【主 訴】 肝腫瘤精査目的
【既往歴】 特記することなし。
【現病歴】 2009年3月検診の超音波で肝S4に径13mmの肝のう胞を指摘された。2009年12月、超音波で肝S4に径32mmの腫瘤性病変を指摘され来院した。
【検査成績】 λGTP 94 IU/Lと軽度の上昇を認めたが、AST、 ALT は正常であった。肝炎ウイルス関連マーカーは陰性で、AFP、 PIVKAII、CEAは正常であった。腹部超音波で肝外側区域に径32mmの高エコー性腫瘤を認めた。CTでは、肝外側区域に径32mmののう胞性腫瘤を認め、内腔に左側壁から伸びるわずかに造影される充実性の腫瘤を認めた。のう胞部分はMRIでは、T1低、T2で不均一な高進号を呈し、粘調な液体成分が示唆された。MRCPではB2のわずかな拡張が見られるのみで、腫瘤と胆管の交通は明らかではなかった。
【手 術】 胆管内乳頭状腫瘍や粘液性のう胞性腫瘍を疑い、2010年2月肝左葉切除を施行した。肝S4にのう胞状に拡張した胆管内の壁の一部よりやや広茎性の茎を有して乳頭状に発育する弾性軟な腫瘤を認めた。胆管外への発育や浸潤や所見を認めず、拡張した胆管と周囲との境界は明瞭であった。組織学的には、高円柱状の粘液性上皮が乳頭状に増殖していた。大部分の腫瘍細胞は軽度の細胞異型、核異型を認めるのみであったが、一部に篩状構造を認め非浸潤性の高分化腺癌と考えられた。卵巣様間質は認めなかった。以上の所見より胆管内乳頭状腫瘍と診断した。
【考 察】 頻度は低いが、膵に見られる膵管内乳頭状粘液腫瘍に類似した腫瘍が胆管にも存在し、胆管内乳頭状腫瘍と呼ばれるようになってきた。本症例は発症早期からの経過が得られた貴重な症例と考えられた。
索引用語 胆管内乳頭状腫瘍, 肝のう胞