セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研77:原因不明の肝硬変に合併し重症化したE型肝炎の1例 |
演者 | 平田 晶子(宮崎大学医学部付属病院) |
共同演者 | 中西 千尋(串間市民病院 内科), 早川 学(串間市民病院 内科), 藤原 利成(串間市民病院 内科), 相良 誠二(串間市民病院 内科), 井上 龍二(串間市民病院 内科), 黒木 和男(串間市民病院 内科), 岡本 宏明(自治医科大学医学部感染・免疫学講座ウイルス学部門) |
抄録 | 【症例】72歳男性【生活歴】機会飲酒,輸血歴なし,常用薬,漢方薬,健康食品摂取歴なし【既往歴】小児期に肝機能異常(詳細不明)【家族歴】特記事項なし【現病歴】平成22年4月26日黄疸が出現し近医を受診.精査のため同日当院に紹介入院となった.【入院時検査所見】WBC:6200/μl,Hb:13.6g/dl,Plt:11.1万/μl,PT:62.3%,glu:107mg/dl,TP:6.4g/dl,Alb:2.5g/dl,T.Bil:17.37mg/dl,D.Bil:14.99mg/dl,ZTT:34.7KU,TTT:24.5KU,AST:519IU/L,ALT:493IU/L,LDH:198IU/L,ALP:664IU/L,γ-GTP:172IU/L,ChE:114IU/L,Amy:240IU/L, CRP:1.23mg/dl.【入院後経過】画像所見・検査所見から急性肝炎を疑ったがHAV,HBV,HCV,EBV,CMV,HSV感染は否定的であった.PBCやAIHも否定的であった.猪肉の摂取歴があったため精査した結果HEV-IgM抗体上昇とHEV-RNA陽性から急性E型肝炎と診断した.Genotypeは3型であった.対症療法で経過をみたが治癒が遷延し通常経験されるE型肝炎より重症であった.またE型肝炎ウイルスRNAが陰性化したあともT.Bil:2.96mg/dl,D.Bil:0.76mg/dl,AST:59IU/L,ALT:40IU/L,LDH:211IU/L,ALP:421IU/L,γ-GTP:224IU/Lと軽度の肝機能異常は持続していた.ヒアルロン酸:497ng/ml,肝生検結果から肝硬変と診断した.肝硬変に至った原因を精査したところ,IgG4が241mg/dlと高値であった事からIgG4関連疾患を考えたが画像所見・病理組織所見からは否定的であった.Burned-out NASHなどの可能性も考えたが病理組織所見などからは否定的で,肝硬変に至った原因は不明のままであった.【考察】E型肝炎は獣肉の経口摂取などによって引き起こされるウイルス肝炎である.しかしB型肝炎やC型肝炎のように慢性化し肝硬変に至る事はない.一方で基礎に肝疾患があると重症化しやすい事が知られており,劇症化による死亡例の報告もある.本症例は基礎に原因不明の肝硬変があった事でE型肝炎が重症化したと考えられた.【結語】原因不明の肝硬変にE型急性肝炎を合併し重症化した1例を経験したので,若干の文献的考察も交えながら報告する. |
索引用語 | E型肝炎, 重症肝炎 |